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チョモランマで氷河の夢を追いかける 康世昌さん
本誌記者 李一凡  ·   2017-10-13
タグ: 科学調査;氷河;社会
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長年の努力の結果、康さんと彼のチームはチョモランマ一帯の気候・環境変化に対し比較的はっきりした認識を持つに至り、中国だけでなく世界の氷河と気候変動研究の上で重要な貢献を果たした。「チョモランマは世界の最高峰であり、辺境の地ですが、私たちの調査で、世界と地域の人類活動がすでにチョモランマ一帯に影響を与えていることが分かっています。この調査研究は世界の気候変動研究に一定の貢献を果たし、温室効果ガスや汚染物質排出抑制のために基礎を提供しました。人類の地球に対する影響は至る所で見られます。全人類は地球環境保護のために行動を起こし、持続可能な発展を遂げられる人類共通のふるさとを作らなければなりません」。康さんはこう語った。

氷河は一般の人々からは遠く離れているように思えるが、康さんの考えによると、それは人類の生活と密接に関わっており、社会全体がともに注目し保護するべきものだ。康さんは言う。「世界の氷河と氷床の退行・縮小によって海水面が上昇しており、海岸帯の人々の財産と安全に影響することが見込まれます。特に今後は海岸周辺地域の持続可能な発展に影響を与えるでしょう。また氷河の退行・縮小による氷河湖の決壊も洪水災害をもたらし、人々の命や財産の損失を招くことが考えられます。従って、氷河は私たちからはるか遠いもののように思えますが、実際には私たちの日常生活と密接な関係にあるのです」。

艱難汝を玉にす

氷河調査の過程で、絶景を目にし、科学研究の楽しさを体感し、無数の栄誉を手にしたが、康さんと彼のチームが経験してきた辛さや苦難については知られていない。科学研究の分野にはこんな言葉がある。「科学研究で一番大変なのは地学。地学で一番大変なのは氷河だ」。康さん自身も、氷河の科学調査の大変さをこう説明してくれた。「標高が非常に高い場所では、誰もが極度の酸欠状態になり、頭痛、吐き気、呼吸困難、食欲不振、不眠などの症状が出ます。こんな状態でも、計器や物資の搬送、テント張りといったきつい作業をしなければなりません」。

氷河の科学調査は身体と精神を痛めつけるだけでなく、死と隣り合わせでもある。氷河にはクレバスが縦横に走り、気象変化が激しい。どのクレバスに落ちても底なしの深い淵にはまり込むかもしれず、暴風雪になれば命を落とす可能性もある。康さんはこれまでに経験した危険の数々を振り返った。「一度クレバスに落ちたことがあります。運良くクレバスはそれほど幅がなかったので氷壁に足を突っ張ることができたし、それほど深い場所まで落ちていなかったので最後は仲間に引き上げてもらえました。ニェンチェンタンラ山を調査した時には、夜に雪が降りしきり、テントが見つけられずに4人で雪の積もった地面に一晩立ち続けたこともあります。ゴラタントン山の調査の途中では、青海湖のほとりで車が横転し、肋骨を6本折ったことも……」

中国の氷河研究はスタートが比較的遅かったが、康さんら何世代にもわたる氷河研究者たちの頑張りと貢献により、徐々に世界の最前線に立つようになった。近年、中国は2回目の氷河目録作成を行い、50年近くにわたる中国の氷河の変化を浮き彫りにし、今後の氷河水資源の変化を予測し、氷河湖災害のリスクなどを分析した。これは国家戦略、特に「一帯一路」(「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海のシルクロード」)乾燥地帯の水資源・災害研究にとって極めて大きな助けとなった。

「北京週報日本語版」2017年10月13日 

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