海路で世界とつながる地
海面に帆影が点在して見られる青島市の浮山湾。生活、産業、観光に適した質の高い港湾都市の風景が広がっている
一方経済面でも、青島は中国で初めて開放された14の沿海都市の一つであり、一貫して対外開放をリードしてきた。青島港は世界第4位の港湾で、2022年の貨物取り扱い量、コンテナ取り扱い量はいずれもプラス転換を実現した。また、青島港は2022年の十大海運コンテナ港ビジネス環境評価で1位となり、最高ランクを獲得した。海のシルクロードとは目に見えない道だが、青島は海路によって確かに「一帯一路」参加国・地域、さらには全世界と密接に結びついている。青島が各国との経済交流で強みを発揮し、今日のように開放的な都市に成長したのは、優れた先進的港湾設備と産業基盤、そして「シルクロード経済ベルト」「海のシルクロード」における地理的位置づけによってもたらされた必然的結果と言えるだろう。
青島の産業発展を代表する企業の一つに、この地で生まれた「海爾」(ハイアール)がある。筆者は現地でハイアール世界家電博物館を訪れたのだが、その展示内容が強く印象に残った。そこでは家電の歴史を過去から現在にかけて紹介していくパートがあり、各年代の主要な家電と生活スタイルが展示されていた。
特徴的だったのは、1950年代、60年代、70年代は欧米、80年代は日本、そして90年代から現代にかけては中国の一般家庭の暮らしが家電とともに紹介されている展示構成である。かつて日本の白物家電が欧米製の品々を圧倒し、やがて中国の経済発展に伴ってメイド・イン・チャイナが家電の主流となり、さらに今日に至ってはIT技術を応用したスマート家電で中国がさらに世界をリードしている。それはまさに改革開放以降の中国における産業および技術発展、生活レベルの向上、そして何より世界に占めるメイド・イン・チャイナの実力と存在感を視覚化したものであった。
このハイアール世界家電博物館だけでなく青島ビール博物館、さらには郊外の小さな工場を訪れた時にも、それぞれの場所の責任者の方は海外進出、世界的な事業展開をしっかりと見据え、対外開放の重要性や国家戦略との連携の重要性を語っていた。それゆえに筆者は、青島の特徴、そして魅力を「開放」という言葉でまとめたいのである。今年は「一帯一路」共同建設イニシアチブ10周年に当たる。これを契機として、青島市、そして中国はよりいっそう海外へと門戸を開いていき、この地の開放の気風はますます高まってゆくことだろう。
銀魚巷をそぞろ歩く観光客
最後に、ここまで筆者の私見を語ってきたわけだが、むろん青島を訪れて何を感じるかはその方次第。観光ならば古い歴史を持つ「老街」をリノベーションした銀魚巷、「農業+観光」モデルで多くの旅行客を集めている里岔鎮の桃李春風田園総合体など他にもおすすめのスポットは数多く、さらに言えばガイドブックや観光サイトに載っていないものだってあるはずだ。ぜひ皆さんこの美しい港湾都市を訪れて、ご自身で青島のさらなる魅力を発見していただきたい。
「北京週報日本語版」2023年5月19日