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川崎広人さん 中国の農村で循環型農業に取り組んだ7年間
本誌記者・金知暁  ·   2020-05-25  ·  ソース:北京週報
タグ: 農業;貧困脱却;中日交流
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しかし、川崎さんは諦めなかった。彼は失敗の原因を分析し、栽培法を調整して、温室の作り方を見学するため日本にも行った。2017年前後から、川崎さんの有機トマトはようやく生産が安定し、ECプラットフォームを通じて、大きな収益を上げるようになった。

「トマト栽培が成功すれば、農場も成功に近づくでしょう」。

小劉固農場で栽培した有機トマトの糖度を測る川崎さん(写真は本人の微博<ウェイボー>から)

自身のたゆまぬ努力のほか、一連の関連政策が打ち出されたことも川崎さんの自信を強めた。2017年、中国共産党第19回全国代表大会の報告は初めて農村振興戦略を打ち出し、「生産が発展し、生活が豊かになり、生態が良好になる」という文明発展の道を歩むことを堅持し、美しい農村を建設し、さらに農村振興戦略と貧困脱却の難関攻略を有機的に結びつけるよう提起した。また同年、中国農業農村部は「栽培業と養殖業が結合した循環型農業モデルプロジェクト建設計画(2017年~2020年)」を打ち出した。現在、小劉固農場は現地の循環型農業モデル拠点に選ばれ、一定の補助金を受けることができた。そして、原陽県が大いに発展させているグリーン養殖や生態農業、文化観光などのプロジェクトも川崎さんの初志と合致しているため、川崎さんはしばしばこれらのフォーラムなどに誘われ、現地の農業に合ったグリーンで持続可能な発展の道について議論している。

ここ数年で農場生産と経営状況は大きく改善されたが、川崎さんにはもう1つの目標がある。それは循環型農業の人材を育成して、循環型農業の理念を中国の人々の心に根ざすものとすることだ。2017年から、川崎さんは農場で堆肥技術に関する短期の研修会を開いている。現在までに1500人以上が参加し、参加者も一般の農民から環境保護に熱心な人や、大学生、企業家、政府関係者などにまで広がり、循環型農業に興味を持つ人はますます増えている。このほか、川崎さんの紹介で10名の日本人農業専門家が小劉固農場へ視察・指導に来たことがあり、小劉固農場も日本の農業関連企業と提携を結び、定期的に訪日視察団を組み、さらに循環型農業を志す中国人の若者を日本へ研修に送った。

研修会の参加者たちに堆肥について説明をする川崎さん(写真は本人の微博<ウェイボー>から)

「ここは本当に大きく変わりましたよ。村がきれいになり、人々の生活が豊かになり、マイカーを持つ人もますます増えていて、村から多くの若者が大学に進学するようになりました」と川崎さんはしみじみと語った。2018年、原陽県は貧困脱却を実現した。県全体に舗装道路が敷かれ、倒壊の危険のある家屋が建て直され、トイレがきれいになり、生活ごみも毎日処理されるようになった。これらのインフラの改善を目にしている川崎さんは、自分が広めてきた循環型農業の理想はまもなくここで実を結ぶだろうと感じている。 

2020年がまもなく半分を過ぎようとしている今、川崎さんが年始に植えたトマトももうすぐ甘い実を結び、多くの消費者はECプラットフォームを通じて早くも予約を入れている。今後の予定を聞かれると、川崎さんは次のように答えた。「私はこれからも中国に留まり続けます。中国の農業企業と提携し、専門的な人材育成のための学校を建て、学生たちに循環型農業の技術を教えたいと思っています。個人的には今後、文字を読めない人でも学べる絵本のような堆肥・有機栽培技術の教材を作りたいです」。

「北京週報日本語版」2020年5月25日

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