仲裁裁判所がフィリピンの一方的な要請を受け入れ、かつ南中国海問題について裁決を下そうとすることは、明らかに国連海洋法条約に違反し、国連海洋法条約の解決手続きの乱用である。南中国海をめぐる中比の争いの核心は領土と海洋境界画定の問題だ。領土問題は国連海洋法条約の調整範囲ではなく、中国は早くも2006年に国連海洋法条約第298条に基づき海洋境界の画定をめぐる争いを強制的紛争処理手続きの適用から除外している。国連海洋法条約に基づき一時的に設置される機関である仲裁裁判所に、本件に対する管轄権は全くない。仲裁など国際司法方式による争いの解決の本質は第三者解決メカニズムに訴えることだが、これは国際法的効力を備える中比双方の合意文書によりとっくに排除されている。また、仲裁裁判所は国連海洋法条約と慣習国際法の関係を悪意をもって曲解した。仲裁裁判所は国連海洋法条約1つによって海上の全ての事を管轄しようとする一方で、慣習国際法には見て見ぬふりをした。国際法の識者はいずれも、国連海洋法条約の定める国際海洋法制度は、本来各国の海洋の歴史的実践の総括と共通の意向によって成立するものであり、国連海洋法条約の原文も全て慣習国際法への尊重を体現している。だが仲裁裁判所は現在によって過去を否定し、国連海洋法条約の基本的な趣旨と精神に背いた。
この点から見て、フィリピン及び仲裁裁判所による国際法乱用は、国際法の厳正さを失わせるものであり、国際秩序の安定に対するその衝撃は過小評価できない。指摘しておく必要があるのは、フィリピンの南中国海仲裁裁判の背後で、域外国である米国が発揮した力を誰もが知っているということだ。米国の国際問題処理法を少しでも理解している人なら、米国が国際的な場で「国際法治の維持」をしょっちゅう口にすることを知っている。国際法治をそれほど「重視」する米国が、なぜ南中国海仲裁裁判では明に暗にフィリピン及び仲裁裁判所の数々の違法行為を煽り立てるのか?答えは簡単だ。米国が遵守する国際法は自らに有利な国際法に他ならず、自らの戦略的利益に合致しさえすれば、国際法に違反する行為も「国際法維持の行動」になるからだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年6月28日