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小細工は南中国海問題の解決に寄与しない
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· 2016-05-11 |
タグ: 南中国海;海洋法;政治 | 印刷 |
フィリピンにとっても、南中国海仲裁手続きはなんの実質的なメリットももたらさない。フィリピンの南中国海問題における決定的な致命傷は、南中国海で紛争対象になっている島・岩礁に対するフィリピンの領土主張には、国際法上の根拠がまったくないことだ。フィリピンの領土範囲には明確な境界線があり、南中国海で紛争対象になっている島・岩礁はフィリピン領土境界線の外側にある。フィリピンは1970年代以降から中国の南中国海の島・岩礁に対する侵入と占拠を開始した。あれこれと理由をつけてはいるが、領土関連の国際法に合致するものは一つもない。したがって、性質から言って「不法占拠」である以上、フィリピンは南中国海領土問題において「原罪」を負っていることになり、どうしてもこれを取り除くことはできないのだ。今回の仲裁結果がどのようなものであっても、フィリピンはこれを機に中国の領土を不法占拠したという事実を覆い隠そうなどとは思わないほうがいい。また、関連事実が明らかになっていくにつれて、仲裁の機会を借りて同情を集める効果も必然的に弱まっていくだろう。
フィリピンが一方的に南中国海問題の仲裁手続きを申し立てて以来、中国は南中国海問題において決して譲歩していない。それどころか、一部の国の挑発が日増しにひどくなるのにつれて、中国の領土主権を守る行動も強化されている。これに対して、米国やフィリピンなどには、口頭での呼びかけや航行の自由アピール、軍事演習をするくらいしか選択肢がない。そして彼らが引き続き南中国海で武力をひけらかし、中国の国家安全を脅かすのであれば、それは間違いなくダモクレスの剣を直接自分の首の上にぶらさげることに等しい。
南中国海問題を解決するには、域外の国々が煽りたてるのをやめる一方で、当事国が「双軌思考」(中国とASEAN、中国と当事国のみで解決するという2つの解決アプローチ)に沿って、交渉と協議を通じて平和的に紛争を解決するべきであって、国際仲裁申し立てとか小細工といったようなことをすべきではない。こうした意味で言えば、米国やフィリピンといった国々が南中国海仲裁手続きで得られるのは、おそらく教訓のほうが多いだろう。(ソース:北京日報)
「北京週報日本語版」2016年5月11日
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