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東アジア共同体の構築を
相違乗り越えるのが外交の本筋
相互尊重、相互理解、相互扶助
文=鳩山友紀夫  ·   2022-08-17  ·  ソース:人民中国
タグ: 中日関係;東アジア;中日交流
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軍拡を見過ごしてはならない 

また、3つ目と申した軍拡ですが、核戦争さえ起きないとは限らないという状況です。これは皆さんの沖縄がターゲットになる可能性があります。南西諸島において自衛隊によるミサイルの基地化がどんどん進んでおります。この状況を見過ごしてよいのか。ミサイル基地化を止めることが本来必要なのではないか、ということです。

同時に、INF条約(中距離核戦力全廃条約)がなくなり、アメリカは中距離弾道ミサイルをこれからどんどん生産する。その仮想の相手は中国だという話になるわけですから、それを使うところはどこかといえば南西諸島。そこに待ったをかける必要があるのではないかということです。

防衛費をGDPの2%にまで上げることに国民の多くが賛成しているように言われますが、そんな予算があれば本来ならば社会保障とか教育の充実に使うべきであって、防衛費をどんどん増額することに賛成をするべきではありません。

抑止力のパラドックスで、抑止力を高めれば相手も抑止力を高めてしまうわけです。むしろ日本はそれを抑えるような役割を率先して果たすべきではないでしょうか。昨日が広島の原爆投下から77周年でした。あの悲惨な原爆投下から77年も経ちながら、日本は核禁止条約に賛成すらできないという、情けない話であるわけです。せめて、核保有国の核先制使用はさせないとか、非核国には核を使わせないとか、そういうことを率先して主張することが必要ではないかと申し上げておきたいと思います。

「一つの中国」という大原則 

価値観の対立の強調に対しては、価値観が違っていたからと喧嘩するのでは、外交はないわけです。価値観の相違をいかに乗り越えていくかということが外交の本筋でなければならない。私はそこに友愛精神が必要だと思っているわけです。

日中国交正常化50周年の今年、日本がいちばん考えなければならないのは、50年前のほうが日中の間ではもっと国力や価値観の違いがあったわけであります。それを乗り越えてこようとした、その原点を忘れてはならないわけです。価値観の違いを乗り越える民間の努力とか外交の努力が今ほど求められているということを認識するべきではないかと思っております。

また内政が外交に影響を及ぼすわけでありますが、それに対しては内政を整えていくということ。日本が経済的に30年も停滞している状況からいかに脱していくか、脱せないとしても経済以外の、精神的なものを含め新たな価値を求めていくことが大事ではないでしょうか。自信回復のための策を講じるべきだと思っております。

非常に難しいのは国境と民族の自決権ですが、台湾についていえば、日米両国は中国が考えていることを理解するということで認めているわけで、「一つの中国」という大原則を再確認することが何より重要ではないかと思っています。

また経済のブロック化に対しては、これはロシアとか中国も望むならば入れるような、あるいは中国もロシアもそしてアメリカも含まれるような大きな共同体というものを構築するということが一つの方法としてあるのではないかと思います。RCEP(東アジア地域包括的経済連携)がうまく機能すればいいとも思いますし、またCPTTP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)に対して中国が入りたいということであれば、条件さえ満たせれば認めるということも大事ではないかと申し上げておきたい。

東アジア全体を不戦共同体に 

こういう中で東アジア共同体を構築する、あるいは構築に向けて努力することがたいへん大きな意義をもっているということを申し上げたいのであります。なぜならば「脅威というのは能力×意図である」ということがよく言われます。脅威というものは、相手に意図がなければ脅威にはなり得ないということであります。相手の意図をいかにして減殺させてゼロに近づけるかということが外交の役割ではないかということです。その意味で、東アジア共同体を実現することによって、東アジア全体を不戦共同体に向けていくということができていけば、この地域に戦争が起きるようなことにはならないわけです。

私は東アジア共同体の話を習近平主席に何度か申し上げたことがあります。そのときにも習近平主席は、「人類運命共同体」ということに通底する話だと理解されたと思っております。私は、友愛というのは孔子の論語の中にある「仁」と「恕」ではないか、この精神で「一帯一路」を進めていただきたいと申し上げました。習近平主席は「鳩山の言うとおりである。私は恕の精神、己の欲せざるところ人に施すなかれの精神で一帯一路を行っていく」ということを申されたのです。その意味では、友愛精神を理解されている習近平主席だと私は認識したわけです。

友愛思想というものを根底にもって、相互尊重、相互理解、相互扶助の精神で価値観の違いを乗り越えて、お互いに平和な国家に仕立て上げていくことは必ずできる、私は、そのように思っています。理想ではありますが、東アジア共同体をつくり、そのために沖縄に常設の議会のようなものをつくって、その中で経済、金融、貿易、教育、文化、環境、エネルギー、防災、防疫、安全保障などあらゆるテーマを議論することが、たいへんに意義のあることだと思っております。

大国間ではしばしば例えばG8がG7になったりするわけでございます。この国がおかしいなと思ったら排除することが行われています。そうではなくて、この国が何かおかしいなと思えば思うほど、その国も中に入れて議論をし、その中で妥協点を見出していくという努力がたいへん大事なのではないかと思っております。そういうような機構を東アジアにつくりたい。そして沖縄にその拠点をつくって沖縄をハブにして共同体構想を進めていく。それが沖縄から平和を発信させる最大のツールになるのではないかと私は考えているわけです。

QUAD(日米豪印)、FOIP(自由で開かれたインド太平洋)、IPEF(インド太平洋経済枠組み)など中国を排除するようなさまざまな仕組みがつくられていますが、東アジア共同体といっても東アジアにとどまらず、アメリカやロシアも排除しないというぐらいの大きな心で、共同体構想を進めて頂くということが大事ではないかと申し上げたいのでございます 。

最後に申し上げたいのは、そのようなことを行っていけば、少なくとも先ほど申し上げたような脅威が東アジアにはなくなる。そうなればこの地域全体が平和に導かれることになると思っております。軍産複合体のアメリカなどの「武器を売るために、軍事力を使うための脅威や抑止力を敢えて生み出す」ような発想に対して、「いや待ってくれ。そんな必要はないぞ」という状況をこちら側でつくりだしていく。挑発にはけっして乗らない東アジアになってほしい。

台湾有事は日本有事だと申された安倍総理、あのような事件で凶弾に倒れたのは残念ですが、台湾有事が日本有事になってはいけない。絶対に台湾有事は起こしてはならない。もっとも基本的なところに戻って、日本がそのために何を為すべきか、平和を維持していくために為すべき大きな役割があるのではないかということを申し上げて、駆け足になりましたが、私からの挨拶と問題提起にさせていただきます。ご清聴頂いたことに心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

(原稿・写真提供:広範な国民連合)

人民中国インターネット版 2022年8月16日

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