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東アジア共同体の構築を
相違乗り越えるのが外交の本筋 相互尊重、相互理解、相互扶助 |
文=鳩山友紀夫 · 2022-08-17 · ソース:人民中国 |
タグ: 中日関係;東アジア;中日交流 | 印刷 |
鳩山友紀夫元首相が8月7日に「沖縄をハブとする東アジアの平和ネットワークをめざす国際シンポジウム」に参加し、スピーチを行った。「台湾有事を絶対に起こさせてはならない」「米国一辺倒の日本を避けるべき」などと提起した。
お集りの皆さん、こんにちは。鳩山友紀夫でございます。今回はお招きを賜りまして、ありがとうございました。先ほど主催者の山本さんからご提案がありましたが、全面的に賛成申し上げます。
私が着ているこの「かりゆし」は、先月私が訪沖の際に自分で染め上げた藍染で、とても気に入っています。
さて現在の世界を見れば、残念ながらさまざまな危機に瀕しております。気候変動やコロナの蔓延も、そして、平和という視点、安全保障の面から見ても、世界的な危機が目の前に横たわっているという話から申し上げます。そして、その解決のために私が従来から申し上げている東アジア共同体という構想とその実現に向けて努力をすることがとても意義のあることではないかということを、私なりに申し上げたいと思っております。
世界が直面する7つの危機
この世界が直面する、平和を脅かす7つの危機をまず申し上げます。1つ目は、今盛んに言われている「トゥキディデスの罠」です。急速に台頭する新興大国に対して既存の支配的な大国が焦りを感じ、その地位を守るために現状維持を望み、その立場を巡って摩擦が起こり、お互いに望まない直接的な抗争に発展する様子を指し、歴史的にもそのような事実が多々あります。今、アメリカと中国との間がまさにそんな状況であります。価値観が違うとか色々なことを言われておりますが、価値観がそんなに違わなかった日本が台頭するときに、アメリカがどんな行動をしてきたかを考えれば、お分かりになろうかと思います。
私はアメリカが、ウクライナ紛争を経て、「この次は台湾だ」と、そんな気持ちになっていないかと大変心配しています。その一つが、先般のペロシ・アメリカ下院議長の台湾訪問です。韓国の尹大統領はある意味で賢明な判断をされ、面談を避けられました。日本の岸田首相は直接お会いになり、笑顔で固い握手を交わされました。この違い、この状況をどのように判断するか、これが一つです。
2つ目は、アメリカはロシアが様々な不安感、不信感を長年にわたり重ねていたということを余りに看過し過ぎてきたのではないかということです。核大国ロシアとの関係は、安定に細心の注意を持つことが絶対的に重要だったのではなかったかと。NATOの東方拡大がロシアを直接的に脅かす、たいへんな脅威であるということを知っていながら、アメリカはそのことをないがしろにしてきたと思わざるを得ないわけです。
3つ目は、軍拡が世界的に進んで、そして核戦争さえ起きかねない危機的な状況に陥っていることです。ロシアとウクライナの軍事衝突でこのことが加速されて、世界中どの国も軍備拡張という議論になってきています。2兆ドルもの予算が軍事費に投入されているという状況があります。
4つ目は、「価値観の対立」の強調です。民主主義対権威主義、或いは専制主義というような対立をことさらに強く言う。だから西側諸国は協力して専制主義、権威主義の国と戦っていかなければならない、それがまさに正義だというように振る舞っているわけです。これではロシアや中国という大国との対立が強まるばかりだということです。
5つ目ですが、内政が外交に対してたいへんな影響をもつ時代になっています。日本を含めて、新自由主義の中で貧富の格差が広がる中で、ポピュリズムが蔓延するわけです。どこかに外敵をわざわざつくって、その敵に対して「我々は戦うぞ!」ということで支持を集めるという傾向があるのです。とくに日本の中では顕著ではないかと思います。
さらに6つ目として、国境と民族がしばしば一致しておらず、一国の中にいくつかの民族が存在する場合もあれば、国を超えて民族が存在するということもあります。そういう時の「民族の自決権」という問題が深刻化してきています。ウクライナ東部にはロシア語しか話さないロシア系の方々が沢山住んでいて、その人たちに対してゼレンスキー大統領をはじめウクライナ政権はかなり抑圧的に制裁を加えてきたという事実も存在します。
最後に7つ目の危機として、このような状況の中で経済がブロック化してしまうということです。ロシアに制裁を加えようとする西側諸国と、ロシアに「まぁまぁ」というような人たちのグループとの間の相克がある。中国とアメリカとの間の競争激化もある中で、世界が2つとか3つ、あるいはそれ以上に分裂し、分断化の危機があることを申し上げなければなりません。すでに中国のHUAWEIに対するアメリカの行動があるわけで、日本もそれに従属しています。中国はそれに対して、「双循環」という考え方で対抗する状況が生まれているのも事実だと思います。
日本は自立した対応を
この7つの世界の危機に対して、どう振る舞うべきかを考えていきたいと思っています。
「トゥキディデスの罠」に関して言えば、対立を緩和するような方向で米中自身が協力できないかということです。例えば感染症対策や、気候変動に対してお互いに協力して答えを出していくというようなことはあり得ないのか。また、なかなか協力しにくい分野、たとえば通信技術の標準化のような時には、日本、ドイツ、また韓国などが協力して、米中の背中を押さないとうまくいかないという問題もあるわけですから、こういうときに日本の役割というのは大きいのではないかとも思います。
日本の立ち位置が非常に重要であって、常にいわゆる対米従属的な立場ではなくて、基本は親米でも、より独立、自立した対応を行わないと、世界の中で孤児になってしまうのではないか、と真面目に思います。
またアメリカは、ロシアの安全保障上の不安感に配慮しなかったということを先ほど申しましたが、まず言わなければならないのは、今回の衝突はアメリカがカギを握っているということです。アメリカが「撃ち方やめろ」といえばこの二国間の戦争はなくなると信じています。昨年12月にロシアはアメリカに対して、ウクライナのNATO入りはやめてほしい、あるいは東部の自治権の問題などで協定を結ぼうと提案しました。しかしこの提案は一顧だにされなかったわけです。でも、そのことをもう一度考えて答えを見出すことが、私はできるのではないかと思います。
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