同法案と日中関係との関係については、「中国の台頭そのものが安保法制の成立を促したことは否めない。例えば『尖閣諸島(中国名釣魚島)や南西諸島の防衛をきちんとするために安保法制が必要だ』と受け止めると、中国にとっては敵対的な法案だと思われても仕方がない部分はある」と述べた上で、「だが、そうした問題が政治的にしっかりと制御できれば、地域とグローバルな相互協力のための法的な基盤につながる」との見解を示した。
海上安全保障対話・交流の進展に関する記者の質問に答えて、神保氏は以下のように述べた。「今年に入ってからずいぶん進んだ。去年のAPEC首脳会議の際に日中4点合意がなされ、これが日中の政治的信頼感の基盤になった。そこで安倍首相と習近平主席が会談し、危機管理メカニズム構築について合意した。これを受けて、今年1月に当局者会合が開かれ、3月にはより広い範囲で日中安全保障対話が4年ぶりに再開した。この対話を通じて、日中の海上および航空連絡メカニズム構築について基本的方向性に合意した。6月か7月には政府間合意を作る予定だったが、東中国海のガス田をめぐる問題など政治的安定性の問題で、政府間合意には至っていない。だが、お互いの方向性は見えているので、今は政治的な環境を作りなおし、危機管理メカニズムの政府間合意に向けて大事な局面に入っている」。
「北京週報日本語版」2015年10月25日