企業の中には、供給側からのイノベーションを達成したところがある。VR(仮想現実)ヘッドセットを装着すれば、遠く離れた場所にいても、「向かい合って」1つの会議室内で交流し話し合いをすることができる。江西中直新経済産業発展有限公司はこうした「隔空重逢」(空間を超えて再び出会う)と名付けられたVR製品の開発を急ピッチで進めている。
同公司の汪翠芳会長は、「感染症の対策期間中にはたくさんの人がテレワークやオンライン生活を選択した。当社の製品はみなさんがバーチャルシーンで『対面』し、テレワークやオンライン生活がより現実に近づくことを目指している。さらに、当社はこの製品を土台にしてVRショッピング、VR教育などの製品も打ち出す予定だ」と述べた。
作業ト塗装ロボットを操作して塗装をする様子。
企業の中には、生産モデルのイノベーションを達成したところもある。一部の企業が化粧品店の営業再開を今か今かと待っている時に、江西魅絲蔲化粧用品有限公司は「注文が押し寄せる」状況になり、一時生産ペースが受注ペースに追いつかないこともあったという……同社の責任者は、「優れた業績はモデルのイノベーションによって支えられるものだ」と話した。
同社は「EC+生産製造」という新モデルの中で、研究開発とマーケティングがどちらもネットに軸足を置くようにし、まず製品をデザインし、大手ECプラットフォームを通じて世界65ヶ国・地域の代理販売業者に配布し、その後、市場からのフィードバックを踏まえて生産現場で何を生産するか決めることにした。同社は、いわばネットに根ざした製造業企業だ。
こうしたモデルは企業のイノベーションの活力を大いにかき立てた。同社では平均2日で新製品が1つ生まれ、一ヶ月の意匠登録出願件数は5件に上る。新製品は発売に先だって、社内で一度「ふるいにかける」という……感染症が流行る中で受注が減るどころか増えたことは、根本的には、企業がオンラインによってオフラインを駆動し、長期的にイノベーションの方針を堅持した結果だと言える。
また企業の中には、技術の蓄積を急ピッチで進めているところもある。撫州市創世紀科技有限公司は大手民間スーパーコンピュータセンターで、今年の初めからずっと生産状態を維持し、顧客を失わなかったばかりか、試行段階の潜在的顧客が20数社増加し、計算能力の生産能力は15%増加した。同社は到来しつつあるデジタル化応用シーンの「波」によりよく適応するため、研究開発を加速しているところだ。
同社の林慶星会長は、「感染症対策期間に訪れる顧客は多くないが、このことがちょうど研究開発に集中するための環境を創出してくれた。この間に、当社は閉鎖式管理を実施する一方で気持ちと力を結集して研究開発に取り組んだ。現在、次世代サーバーは研究開発の80%が終わり、市場ニーズに合わせて性能の最適化を進め、人工知能(AI)のディープラーニング(深層学習)の能力向上をはかっているところだ」と説明した。
感染症の中で江西省の多くの企業が違う道を歩みながら同じ目標に向かっている。数々の物語から十分にうかがえるのは、企業はイノベーションを続けなければ、本当の意味で「今」をつかまえることはできないし、「未来」もつかめないということだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年3月23日