「中所得国の罠」回避の条件を備えた中国 

                       清華大学中国・世界経済研究センター主任　李稲葵 

「中所得国の罠」の回避に成功した経済体はだいたい次のような３つの基本条件を同時に満たしている。第一に、長期的かつ安定的で、市場経済の発展を支持する政府があること。第二に、持続的に改善する質の高い人的資本があること。第三に、対外開放の実行を堅持すること。今の中国はこの３つの基本条件を明らかに備えている。従って、われわれは「中所得国の罠」の回避に成功する自信がある。 

現在、中国の経済成長について、次のような悲観的な見方もある。第一に、人口ボーナスの消失という問題。第二に、大国の経済は外部市場に頼って発展しにくいという問題。第三に、中国経済に高いレバレッジが存在するという問題である。以上の見方は実際状況に合っていない。今、中国の貯蓄率は依然として米国、日本、ＥＵなどの経済体よりはるかに高い。しかも中国は供給側構造改革を行っており、デレバレッジもさらに進めていく。中国経済はさらに健全なものになるだろう。 

「北京週報日本語版」2016年6月15日