欧州中央銀行(ECB)の大規模な追加緩和を受け、欧米市場は先週大きな変動を見せた。今週は米連邦準備理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)を開催するほか、日銀政策決定会合やイングランド銀行(BOE)の金融政策委員会も控えており、目の離せない状況が続く。証券時報が報じた。
欧州中央銀行は先週、主要政策金利であるリファイナンスオペの最低応札金利を0.00%と従来の0.05%から引き下げたほか、中銀預金金利を0.1ポイント引き下げマイナス0.4%とし、限界貸出金利も0.25%と、従来の0.3%から引き下げた。また、量的緩和(QE)の月間購入額を4月から800億ユーロ(約9兆9000億円)に増額するほか、新たな一連の条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)も6月に開始する。
ただ、ECBのドラギ総裁は、利下げは当面打ち止めとしたほか、今後の注目ポイントは、マイナス金利から他の非伝統的なツールへと変わるとの見方を示した。
この発言を受け、欧米の金融市場は、10日大きく変動したものの、投資家がECBの利率決定の影響を消化して、翌11日には落ち着きを取り戻した。うち、S&P500の指数は終値2022.19(+1.64%)と、今年最高値をつけたほか、ダウ工業株30種(ドル)の 終値は17213.31(+1.28%)、ナスダック総合指数の終値は4748.47(+1.85%)となった。先週1週間を見ると、S&P 500の指数は1.07%、ダウ工業株30種(ドル)の指数は1.21%、ナスダック総合指数は0.67%、とそれぞれ上昇した。
市場統計によると、ダウ工業株30種(ドル)は今年初めて、200日移動平均線を上回って引けた。多くのアナリストは、今年の初めから進んでいた米国株の下落に歯止めがかかったと見ている。投資顧問会社であるアリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンのエコノミスト・クリス・フーパーは、「米国の株式市場にとって、原油価格の上昇や国際エネルギー機関(IEA)が原油価格が底を打った可能性があるとの見解を示したことが追い風となっている。その他、ECBの刺激政策も功を奏した」との見方を示している。