2月29日、中国人民銀行は2016年3月1日から金融機関の人民元預金準備率を0.5ポイント引き下げることを決定した。それは合理的で十分な金融体系の流動性を維持し、通貨預金の安定かつ適度な成長を導き、供給側(サプライサイド)構造改革のために適切な通貨金融環境を作るための措置だ。
昨年12月に米連邦準備制度理事会(FRB)が数年ぶりの利上げを行い、市場では、米国は金融引き締め政策、欧州と日本などは再度の金融緩和策というように、世界の主要大国の金融政策に相違が生じている、と見られている。しかし実際には世界経済が短期間で回復することは難しく、衰退に直面するリスクは依然として大きい。世界の多くの国の金融政策は依然として緩和に次ぐ緩和であり、ひいてはマイナス金利政策を取っている国もいくつかある。
G20財務相・中央銀行総裁会議の開催前に行われた記者会見で、周小川・中国人民銀行総裁は、「今年の中国中央銀行の金融政策は穏健でありつつ『やや緩和』されたものになる」と発言した。「やや緩和」の金融政策という言い方は以前とは大きく異なるものだ。ここからも、中央銀行の預金準備率引き下げのメッセージが伝わってきていた。したがって、2月29日に中央銀行が預金準備率引き下げを発表したことは、実はそれほど意外なことではないはずである。
2015年の経済成長がこの25年で最低の6.9%に下落した後、国内外環境の影響を受け、2016年の経済成長も下振れ圧力が依然として続いている。一方で預金準備率引き下げは2016年の経済安定成長を保証する最も重要なツールにもなっている。したがって、中央銀行の預金準備率引き下げは金融緩和政策を利用して経済成長を保証しようとするものである。