さらに重要なのは、ここしばらく人民元安が続いていたため、国内資金が国外に流出しただけでなく、国外の資金も中国市場に流入しなくなり、そのために前月の外貨準備増加に伴う自国通貨放出額が7000億近くまで減ったことだ。それによって中央銀行の基礎通貨投入が減り、市場の流動性不足というリスクに直面することになった。
しかし、人民元レートが安定するまでは、中央銀行としては受動的に人民元レートの変化を注視するしかなかった。そうでなければさらなる人民元安を引き起こす可能性があったのだ。しかし旧正月以降は人民元レートが安定したため、中央銀行の金融政策緩和、或いは預金準備率引き下げの条件が整った。
このほか、金融緩和政策は今年の不動産在庫調整の最も重要な手段・ツールにもなっている。住宅販売の全面的成長のための最も重要なツールは、銀行住宅ローンの全面的な急成長である。中央銀行の預金準備率引き下げにより、国内商業銀行のためにより多くの貸出可能資金を増やすことが可能になり、これによって住宅ローンの貸付需要を保証することができる。
つまり、今回の預金準備率引き下げは世界市場の動きと連動しており、中国のさらなる金融緩和政策が正式にスタートすることを予見させる。こうした穏健でやや緩和された金融政策がどこまで続くかについては、今後の国内外経済全体の趨勢次第だろう。
「北京週報日本語版」2016年3月2日