国際準備の多様化は、これまで非常にゆっくりと進展してきており、しかも技術的には後退している。人民元が各国の外貨準備バスケットに採用されれば、準備通貨の多様化を促進する要因になるはずだ。超主権通貨の概念は、世界的にはまだ学術の範疇にとどまっている。その最も根本的な原因は、超主権通貨には国際条約の支持が必要で、国際関係にまで影響が及び、完全に市場によって決定できないという点だ。国際関係の調整は、一つには国家間で協議し、協力し、駆け引きし、妥協する必要がある。二つ目としては、平和な環境ではゆっくりと進む過程なのである。
全体的に見て、人民元国際化は国際通貨体系改制と進展変化を促進する重要な要素である。人民元が国際化されず、人民元のSDR入りといった事が起きなければ、現在の国際通貨関係の基本構造は依然として変わらず、30年前、40年前と同じままだろう。もちろん、人民元SDR入りで国際通貨体系が変わる見込みが非常に大きいということではない。人民元がSDR入りして国際通貨に選択肢が1つ増えても、世界の外貨準備におけるドルの割合は今後かなり長い間は突出した地位を保つだろう。ドルの割合は現在63%で、米国GDPが世界のGDPに占める割合の4倍だ。この数字は今後10年で低下することが見込まれる。だが50%まで下がったとしても、ドルの割合は依然として世界全体の半分を占めている。
「北京週報日本語版」2015年12月4日