5年余りにわたった「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)交渉が、米国など12カ国の閣僚の共同声明発表にともない、終わりを告げた。このニュースが明らかになると、各方面で議論が噴出し、多くの人がTPPは中国の対外経済貿易発展に大きな影響を与えると考えた。
実際のところ本当にそうだろうか?明らかに違う。
まず、TPPは中国経済に対しマイナス影響を及ぼすだろうが、深刻なものにはならないはずだ。TPP合意がなされた後、中国の輸出と外資導入が直面する圧力は大きくなると見られる。例えば北米向けに輸出する紡織品・衣料などはベトナムやマレーシアなどの製品に押し出されるだろう。外資はTPP内の免税条件を理由にTPP加盟国を選ぶだろう。しかし数年にわたる経済構造調整により、中国の経済成長方式はすでに従来の輸出型から消費型へと転換しており、低付加価値製品の輸出は最早中国の目指すところではない。中国の市場基盤は、外資から重視されないことを懸念する必要がないほど巨大になっている。中国が対外開放政策を続けさえすれば、依然として外資から好まれる市場であるに違いない。
次に、中国とTPP参加国間の貿易を見てみると、すでに国際貿易の重要な構成部分となっており、こうした貿易規模が短期間で縮小することはないはずだ。現在、中米2国間の経済相互依存度は絶えず高まっており、ますます多くの米国メーカーが積極的に対中協力を拡大している。しかも中国は韓国やオーストラリアというアジア太平洋の2大重要経済体とも自由貿易協定をそれぞれ締結している。現在のTPP参加12カ国のうち、5カ国が中国と自由貿易協定を結んでおり、7カ国が中国を含む「地域包括的経済連携」協定交渉に参加している。また中国は「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海のシルクロード)、アジア開発投資銀行(AIIB)など地域協力プロジェクトの構築を加速しており、これらすべてによってTPPの中国経済に対する影響は薄まるだろう。