ホーム >> 文化 >> 本文 |
又吉直樹の「東京百景」中国語版出版、若者の琴線に触れる日常描く
|
· 2020-06-16 · ソース:人民網 |
タグ: 文学;東京;文化 | 印刷 |
お笑いタレントで、芥川龍之介賞受賞作家である又吉直樹のエッセイ集「東京百景」中国語版がこのほど、上海訳文出版社から出版された。翻訳は日本で活躍する中国人作家・毛丹青が担当した。
「東京百景」は、又吉直樹が2009年から書き綴った100篇の物語から構成されている。18歳で芸人になることを夢見て上京してから、東京のあちこちを歩き回り、傷つき、苦しみ、後悔し、ささやかな幸福に微笑んだ10年間の思い出が記録されている。同作品は、又吉直樹らしいスタイルで書かれ、タイトルも大ファンの太宰治の短編集「東京八景」を模して「東京百景」となっている。
中国語版が出版される前、又吉直樹は中国の読者向けに、「僕は18歳の時に芸人になることを夢見て、東京での生活を始めた。でも、全ての事が混乱していて、あてもなく行き詰まり、不安と孤独に満ちた日々を過ごしていた。生活はとても苦しかったが、東京のやさしさとおもしろさも感じることができた。東京はそんなとても不思議な街で、とても魅力がある。この本を書いた時の様子を振り返りながら、それを読み返すと、これは東京が僕に書いてくれたラブレターのように感じてくる。でも、この街が振り返ってくれることは永遠にない。皆さんにこの本から楽しみを見いだしてもらえることができれば、とても光栄だ」という、メッセージを綴った。
「東京百景」では、又吉直樹が18歳の時に上京してから今に至るまでの、衣食住、アルバイト、漫才、書店巡り、街巡り、サッカーなど、その暮らしぶりが綴られている。又吉直樹は上京したばかりの時に借りた家は、大ファンの太宰治が住んでいた木造の家とよく似た家だったほか、太宰治や尾崎紅葉、夏目漱石などのお墓、旧居跡に何度も足を運び、さらに、聖地に行くような思いで、太宰治、坂口安吾の行きつけのバー・銀座ルパン、文学イベントがしばしば開かれる蒲田の蚤の市、本の街・神保町などに足を運んだ。そのため、「東京百景」は、日本文学ファンの読者にとっては、独特の魅力がある。
2015年、又吉直樹は、処女作「火花」が評価され、第153回芥川龍之介賞を受賞し、累計発行部数は300万部を突破して、芥川賞受賞作品として歴代第1位を記録した。「東京百景」は、又吉直樹の原点的作品で、「火花」に出てくるさまざまなシーンや原型などの影を「東京百景」で見つけることができる。
又吉直樹が描くストーリーは、ときには温かく、時には残酷で、時にはマジカル、そして時には読む人の涙も誘う。また、大都市で暮らし、そこで必死に奮闘している若者の琴線に触れ、そこで描かれているのは「まさに自分が経験していることだ」と感じる。「情熱」と「失望」の狭間に、東京の四季、日常が詰まっており、読者が強い共感を覚える内容となっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年6月16日
シェア: |
|
このウェブサイトの著作権は北京週報社にあります。掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
住所 中国北京市百万荘大街24号 北京週報日本語部 電 話 (8610) 68996230
京ICP备08005356号-4 京公网安备110102005860号