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日本のミステリー映画「祈りの幕が下りる時」 残酷な現実の中に見る人間の温かさ
  ·   2019-04-28  ·  ソース:人民網
タグ: 映画;東野圭吾;文化
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日本映画は、日常の小さなことに焦点を当て、悲しみや残酷な現実など暗い世界から温かい人間味や光を掘り起こすのがかねてから得意で、昨年の是枝裕和監督の「万引き家族」や今年の東野圭吾の小説を原作とした「祈りの幕が下りる時」もその類だ。特に、ミステリー推理作品である「祈りの幕が下りる時」に登場する人物は、窮地に追い詰められたり、闇を抱えたりしていても、そこからなぜか温かさや光を感じることができる。(文:曾念群。北京日報に掲載) 

近年、中国で最も人気の日本人作家と言えば東野圭吾で、その作品は各書店で、村上春樹の作品を上回っているようにみられるほどの人気となっている。「白夜行」や「容疑者Xの献身」、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」などの作品は、多くの熱狂的なファンを抱え、ここ2年の間に、「容疑者Xの献身」と「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は中国人監督によって映画化された。「白夜行」のリメイク版製作権も、中国の製作会社が手に入れている。

東野圭吾は、1985年の作品「放課後」が評価され、第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタートさせた。そして、1986年に退職し、専業作家としての道を歩み始めた。2013年の作品「祈りの幕が下りる時」に登場する主人公の加賀恭一郎は1986年のデビュー第2作「卒業」で初登場したため、東野圭吾の作家人生の9割以上の時間が加賀恭一郎シリーズに注がれていることになり、「祈りの幕が下りる時」は、同シリーズの第10作で、完結編となっている。

「祈りの幕が下りる時」は、表面的に見ると、殺人事件をめぐる推理、ミステリー作品であるものの、実際には、家族や子供に対する思いなどが本当の意味でのテーマで、そのストーリーの背景は、他の「加賀恭一郎シリーズ」の作品と同じく、1980年代まで遡ることができ、30年以上ずっと明らかになっていなかった加賀自身の父親と母親をめぐる真実も明らかになる。数十年の歳月が関係する他人との関係よりも結びつきが強い血のつながりのある家族への思いが込められたストーリーは、単なる無情な事件を数十年の時間をかけて解決するストーリーよりも、ずっと人の心をくすぐる。それをベースに、東野圭吾は、30年という月日の間を、読者が行ったり来たりするように、ストーリーを巧みに操っており、その複雑な語りに、読者は頭をフル回転させなければならなくなる。

このような語りは明らかに映画のモンタージュに適している。中国のコミュニティサイト・豆瓣では、7万人以上が同映画を評価し、8.0ポイントと、原作小説を上回る高い評価を得ている。福沢克雄監督は、原作の複雑な人物設定や交錯する人間関係などをベースに、「山の形が分からないのは、自分が山の中にいるからだ」と困惑させる要素を盛り込んでいる。それでも、約2時間のこの作品を腰を据えてじっくりと鑑賞し、1998年、2010年、2012年、2017年というカギとなる年に起きたことをしっかりと頭で整理することができれば、その真相を浮かび上がらせることができるはずだ。

前半はやや淡々と進み、殺人事件を捜査する松宮と、その従兄で日本橋署の刑事である加賀恭一郎がタッグを組む姿も機械的にすら見える。しかし、捜査が行き詰った時に、あることをきっかけに、加賀は突然その事件と失踪した母に関する謎とを直結させることになる。そして、少しずつ真相が明らかになるにつれて、ストーリーは、事件の解決から家族愛へとその中心が移っていく。加賀恭一郎の運命と知り合いの浅居博美の運命が、一歩ずつ交錯し、その真相が少しずつ暴かれていく。世界は小さいもので、実際には運命で繋がっていた二人をめぐる、30年間暴かれることのなかった「謎」が解き明かされていく。

一見、浅居博美と加賀は親に愛されず孤独を抱えて育ったように見えるストーリーだ。浅居の母親は、父親の印鑑を使って巨額の借金をし、博美と父親はやくざから逃げる生活を強いられた。一方で、加賀の母親も彼が10歳の時に突然失踪し、遺影と遺灰との対面というかたちで再会を果たす。身勝手な二人の母親が、子供がさみしさを感じて生きる根本的な原因だ。二人の父親も子供との関係が複雑で、博美の父親は自殺し、加賀の父親は彼と険悪な関係のまま死んでしまった。

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