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中国の世界遺産と国際的視野
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呂舟 · 2017-04-26 · ソース: |
タグ: 世界遺産;中国文明;文化 | 印刷 |
2017年は中国が世界遺産登録申請に取り組み始めてから30年目に当たる。1987年時6件だった中国の世界遺産は、現在では50件まで増えた。内訳は文化遺産35件、自然遺産11件、複合遺産4件となっている。現在、中国は世界遺産数が最も多い国の1つとなり、高い世界遺産研究・保護・管理能力を有している。世界遺産は、中国が世界に向けて悠久の歴史と豊富な文化、自然の多様性を示す最も影響力ある窓口にもなっている。
30年にわたり世界遺産登録申請に取り組んできたことで、中国の保護対象に対する認識は文化財から文化遺産に広がり、文化遺産資源に対する再認識が促された。2011年に終了した第3回全国文化財調査で発表された移動不可能な文化財の数は76万6722カ所に上り、1980年代の第2回調査の指定文化財数から倍増した。ここまで数が増えたのは、ある程度のところは、世界遺産によって文化景観や文化の伝播経路、産業遺産、20世紀遺産といった新たな文化遺産の種類が認知されたことによる。
世界遺産が中国にもたらした変化としてさらに重要なのは、中国の遺産保護界が世界的な視野を持つようになり、世界的な角度から改めて中国文明の世界に対する意義を見つめ、豊富で多様な人類文明における中国文明の地位を認識・理解し、中国文明の形成と発展過程における世界の他の文明・文化の影響を認識するようになったことだ。このような視野を持ったことで、中国の世界遺産登録申請や保護の急速な発展が可能になり、また促進された。
世界遺産の登録申請には、申請対象を価値というコンテクストの中に置き、世界の類似或いは関連する遺産と比較して、申請する遺産が持つ独自性と世界遺産一覧リスト登録に必要な「顕著な普遍的価値」を確定する必要がある。こうした比較は、研究者が世界の他の関連遺産の特徴と価値をはっきりと理解し研究した上で行わなければならず、各国公認の価値体系構築をベースにして行う必要がある。
2005年に世界遺産一覧リストに登録された澳門(マカオ)歴史地区は、中国文化と外来文化との共存、対話、交流を強調した。2009年に世界遺産一覧リストに登録された五台山は、仏教が中国で広められ、発展した後に世界に与えた影響をアピールした。2014年の「シルクロード:長安-天山回廊の交易路網」は、中国が東洋文明の核心として東西文明交流に与えた影響をアピールしただけでなく、シルクロード沿いの国と文化がこうした交流に与えた影響も強調した。2018年に申請予定の「泉州史跡」は、10~14世紀に異文化が平和的に共存し、尊重し合っていた歴史の証人だ。2017年の第41回世界遺産委員会で討議予定の申請項目「鼓浪嶼」(コロンス島)は、現代社会のグローバル化初期における文化の対話と交流であり、文化発展促進の重要な証例である。
これらの申請項目は、人々が史跡に対して通常理解しているような歴史的価値と芸術的価値のレベルにとどまらず、文化、文化の伝播・交流の面で申請対象が持つ世界的な文化的価値にも関心を払っている。このような文化価値体系の構築は、今日の世界遺産分野における異文化間の相互尊重と対話の基盤を形作り、今日の世界が直面している課題に歴史の側面から答えを示している。
世界遺産申請の意義は、ある個別の遺産に対する保護という範囲をはるかに超えている。我々は世界遺産を通じて中国文明の世界への貢献を伝え、中国の文明発展プロセス全体を反映し、世界の生活スタイルに影響と変化をもたらした遺産を世界遺産の優先申請対象にするべきだ。そうすることが、今日の世界の文化間の対話、平和構築、社会の持続可能な発展促進に貢献することにもなる。 (呂舟:清華大学国家遺産センター主任)
「北京週報日本語版」2017年4月27日
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