2010年――きわめて複雑な年
2010年の仕事に対する政府活動報告の布石にふれた際、向東氏は次のように語った。報告は、今年は国際金融危機に引き続き対応し、発展パターンの転換を加速し、経済の穏やかでかなり速い発展を保つ肝心な1年であり、全面的に「第11次五カ年計画」を実施し、「第12次五カ年計画」のための基礎を作る年であると指摘している。先般、温家宝総理はインターネット利用者たちとオンラインで交流を行った際、今年は情勢がきわめて複雑な1年だと語った。
全般的に見て、今年の環境は昨年よりいくらかよくはなるが、しかし、世界の経済回復の基礎はまた比較的に軟弱で、危機が各国にもたらした影響はまだ取り除かれておらず、各国の貨幣政策の制定と実施はすべて比較的困難な選択に直面し、それに世界の主な商品価格の揺れ、各国の為替レートの揺れ、保護貿易主義の台頭を加えて、中国の直面している外部の環境には依然として多くの不確定と不安定の要素がある。同時に、私達も、経済のグローバル化の大きな趨勢は変わらず、世界の大きな調整の中に大きなチャンスが孕んでいることを見て取っている。私達は必ずチャンスをがっちりとらえて、しかるべき成果を勝ち取らなければならない。
国内から見て、私達はまた重要な戦略的チャンスに恵まれる時期にあり、現在実施している一連の内需拡大政策の効果は逐次顕在化しており、国内の工業化、都市化も発展を加速しており、内需の空間は非常に大きく、これらすべては私達にとって有利な要素である。同時に、私達はまた多くの問題に直面しており、例えば経済の内発的原動力が不足していること、自主的に新基軸を打ち出す能力が強くないこと、就業のプレッシャーが持続的に増大していること、農民の収益増の基礎がまだしっかりしていないこと、財政・金融分野のリスクが絶えず増加していること、また医療・衛生、教育、住宅、収入分配のような人民大衆の切実な利益にかかわるいくつかの問題は差し迫って解決が待たれている。このため、温総理は政府活動報告の中で、私達は当面の経済の底打ち反転、よい方向へ向かうことを経済の根本的な好転と同一視してはならず、必ず危機意識を強め、今の有利な要素を十分に利用し、真剣に危機対応の仕事を上手にすすめ、仕事のイニシアチブを握らなければならないと強調している。
布石が明確で、措置も強力なものである
政府活動報告は8つの面から今年の仕事に対して布石を行っている。その最も重要な点は積極的な財政政策と適度でゆったりした貨幣政策を引き続き実行しなければならないということであり、政策の一貫性と安定性を保つとともに、しかも新しい情勢、新しい状況によって力を入れて政策の応対性と弾力性を高め、政策実施の度合、重点、リズムを上手に把握しなければならないことを強調している。その核心は経済の穏やかで比較的速い発展を保つこと、構造を調整し、発展パターンを転換すること、およびインフレの予想をちゃんと管理することの間の関係を上手に処理しなければならないということである。
今年の仕事の布石は科学的な発展、国民生活の改善、引き続き改革開放を深化させるというメーン・ラインをしっかりとめぐったものである。温総理は報告の中で、発展パターンの転換を速めることはすでに一刻も猶予できないこととなったと強調している。金融危機の後、うわべから見ると、ただ私達の発展速度に対する衝撃だけであるようであるが、実際は私達の発展パターンに対する新たなチャレンジであり、私達はこれまでのような高投入、高消耗、高汚染、低利益の成長モードをこれ以上続けてはならなくなった。私達は必ず発展パターンを資源とエネルギーを節約し、科学技術の進歩と勤労者の資質の向上に頼ることに転じなければならない。同時に投資、消費、輸出入の均衡をはかり、発展のパターンを科学的な発展の軌道に転じさせなければならない。
第二、国民生活の改善である。国民生活は就業、社会保障、収入分配の改革、住宅、不動産の穏やかな発展などの諸面を含むのみならず、国民生活の角度から大きく言うと、三農(農民、農村、農業)の仕事を上手にすすめ、優先的に教育を発展させ、科学教育による国の振興戦略と人材によって国を富み栄えさせる戦略を全面的に実施することは、いずれも国民生活の問題である。これは総理の政府活動報告の中ですべて非常に深く突っ込んだ形で述べられている。国民生活の改善は経済社会発展の根本である。国民生活の保障に力を入れ、それを上手に改善してのみはじめて経済の発展は恒久的な原動力をもち、社会の進歩は堅固な基礎をもち、国は長期にわたって安定することができる。国民生活問題に関する明確な布石は同時に人民大衆が関心を寄せる一連のホットな問題にも答えたものである。
第三、確固として改革開放を推し進めることである。国有企業の改革、資源型産品の価格と環境に対する料金徴収の改革、財政・租税体制の改革、金融システムの改革および事業体部門の改革については、報告の中ですべて明確な布石が行われている。温総理は、改革は全面的な改革であるべきであり、経済体制の改革だけでなく、また政治体制の改革とその他の分野の改革を含むということを特に強調し、次のように述べている。政治体制改革の成功がなければ、私達の経済体制の改革と現代化建設が成功を収めることは不可能である。開放の角度から言って、今年にさらに1歩進めて対外開発の広さと深さを目指しなければならない。1つは安定的に対外貿易を発展させ、国際収支の均衡を実現し、内需も拡大すれば、引き続き市場も開拓し、構造も調整し、均衡も促さなければならないことである。いま1つは対外投資と外資の利用の協調的な発展を推進し、多国間、二国間の協力を深化させ、旗幟鮮明に保護貿易主義に反対し、貿易紛争を適切に処理しなければならないことである。
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