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井戸を掘る人々
──中国で、日本で、暮らして
 
~元北京駐在員のつぶやき~
庶民の足、路線バスから眺めた北京

 

この安さは当然渋滞解消という政府の政策に合わせて実施されている。年々酷くなる渋滞緩和策としてバスや地下鉄の乗車が奨励されている。ただ時間が読めないのでは、仕事で使うにはちょっと難しい。バス専用レーンもあるところもあるが、一向に進まない区間もあった。

この0.4元を享受するには『一卡通』が必要である。このカードで今や電子化されたと思っていたが、さにあらず。未だに車掌さんが乗車しているバスが少なからずある。日本では車掌さんは既にいないので、これにも驚く。車掌さんの役割を見ていると実に面白い。カードを持たない人に切符を売る(この場合は1元)他、特に北京の特徴である二両連結車両では、窓から手を出し、進行方向の指示を行い、無賃乗車など不正防止にも目を光らせる。また混雑時には乗客をうまく出口に誘導(電子化したことにより降り口が限定されている)している。

老人や障害のある人が乗って来ると、座っている若者に声を掛け、席を譲らせている光景には感じるところがあった。日本では老人の優先席に若者が座って譲ろうとしないことが良くある。実は北京でも少しずつ日本的な傾向が出て来ているのではないか。ただここで車掌さんの存在は大きい。日本にも車掌制度を復活させるべきかもしれないのだが、そうなる益々料金は上がって誰も乗れなくなる。

特に市内中心部である寛街付近は老人の乗車が目立つ。老人は無料だからだろうか。それもあるが、平日の昼間、優先席付近では知らない老人同士が楽しそうにおしゃべりしていたりする。そこに車掌さんも加わり、車内に笑いが響く。何だか縁台将棋に興じる、ランニングシャツ1枚でビールを飲みかわす、パジャマ姿でトイレに行くような感覚があり、昔の胡同を再現しているようで、こちらも楽しくなる。

南羅鼓巷は私の好きな散歩場所であったが、現在ではおしゃれなスポットになっている。ある日、ここの入口を通り過ぎてしまい、少なからずショックを受けた。何と牌楼を残し、周囲が取り壊されていて、分からなくなっていたのだ。原因は地下鉄工事だと聞く。北京ではオリンピック前に胡同などの開発がいくつも差し止められたが、その後も不動産価格高騰で開発が継続されている。

都市が発展していく過程では、残念ながら昔ながらの味わいが薄れていくのは仕方がないことかもしれない。また既に50-60年代までの北京と現在の北京の雰囲気はまったく違うと言われたこともある。今後地価の更なる上昇よる開発、地下鉄路線の拡張により、バス路線は少しずつ消えていくであろう。それは単にバスが無くなるだけでなく、無形の文化遺産が消えていくことかもしれない。バブル期の東京がそうであったように、やらなくてもよい開発により、有形、無形の遺産を失うことは如何なものかと思うのは私だけであろうか。北京の古き良き雰囲気の残るバスは外国人から見えれば是非その料金と共に維持してもらいたい。同時に乗車しやすい環境の整備にも大いに期待したい。

「北京週報日本語版」2011年6月14日

筆者プロフィール

すが・つとむ 東京外語大中国語科卒。

金融機関で上海留学、台湾2年、香港通

算9年、北京同5年の駐在を経験。現在は

中国を中心に東南アジアを広くカバーし、

コラムの執筆活動に取り組む。

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