「逃亡」する経営者たち
実のところ、胡董事長の前にも、温州市ではすでに多くの企業経営者が資金破綻のために借金返済が不能となり、国外へと逃亡している。最初は今年4月、温州竜湾にある江南皮革有限公司の黄鶴董事長が失踪。同月、温州波特曼咖啡の経営者厳勤氏が逃亡し、関連店舗が営業を停止した。温州楽清にある三旗集団の陳福財董事長は資金繰りに問題が生じて逃亡した。
温州市の民営企業、振華鋼業有限公司で、ロール状のステンレス材に引き出しテープをつける従業員
これらの企業はいずれも小企業だったため、工場が停止しても当たり前だととらえられ、影響は限られていた。しかし温州眼鏡業界のトップ企業である信泰集団董事長「逃亡」のニュースが流れたことで、人々はついに温州民営企業倒産ブームの危険について知ることになり、衝撃を受けた。
新華社ウェブサイトのニュースによると、4月初めから9月末までに、温州市では経営者の逃亡や倒産企業が少なくとも90社以上あり、9月だけでも26件発生している。
経営者逃亡の原因は企業が重い債務を背負い、返済請求に対応できなくなったからだ。9月22~27日までの5日間に、温州市では借金苦による経営者の飛び降り自殺事件が連続して3件発生し、2名が死亡、1名が負傷している。
温州企業のほとんどは輸出企業で、今年の急激な人民元高に加えて、国際市場の萎縮、国内インフレによる人件費コストと原材料コスト上昇などの影響により、ほとんどの企業経営に赤字が生じている。
企業は儲からなくても多額の債務は返済しなければならない。そのため多くの経営者が逃亡や飛び降り自殺を選んだ。
温州市政府金融弁公室の張震宇主任は9月29日に行われた記者会見で、温州市の生産停止・倒産企業は年初にはごくまれだったが、今では次第に蔓延する傾向に向かいつつあると指摘した。
張主任によると、多くの中小企業の資金繰りはさらに逼迫しつつあり、一企業の倒産が多くの関連企業の資金繰りに影響する現象が拡大しているという。
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