2011年、中国は『「第12次5カ年計画」省エネ・排出削減の総合的作業方案』を公布し、「第12次5カ年計画」期間の省エネ・排出削減の主な目標と重点活動を打ち出し、エネルギー強度の低下、主要汚染物排出総量の削減、エネルギー消費総量の合理的な抑制を有機的に結びつけ、「倒逼メカニズム(下位の側から上位の側に対して強制すること)」を形成し、経済構造の戦略的な調整を推し進め、産業構造と配置を最適化し、工業、建築、交通輸送、公共機関、および都市部・農村部の建設と消費分野のエネルギー使用管理を強化し、資源節約型で環境にやさしい社会を全面的に建設していくものとした。
――産業構造を最適化する。中国は産業構造の調整を省エネの戦略的重点として堅持している。低レベルの重複建設を厳しく抑制し、高エネルギー消費、高排出の立ち後れた生産能力の淘汰を加速する。先進的な適用技術を用いて在来産業の改造とグレードアップを加速する。加工貿易の参入許可基準を高め、加工貿易の転換・グレードアップを促進する。対外貿易の構造を整備し、エネルギー密集型、労働力密集型から資本・技術密集型への転換を推し進める。サービス業をおおいに発展させる。戦略的な新興産業を育成し、発展させ、先導的支柱産業の形成を加速する。
――工業の省エネを強化する。工業エネルギー消費は中国のエネルギー消費の70%以上を占め、工業は省エネの重点分野となっている。国は鉄鋼、石油化学、非鉄金属、建材などの重点業種における省エネ・排出削減の先進的適用技術のリストを制定し、立ち後れた技術、設備、製品を淘汰し、省エネ型で高付加価値の製品、設備を発展させる。重点業種における単位製品あたりのエネルギー消費限度額に関する強制力のある基準システムを確立、整備し、省エネの評価審査制度を強化する。コジェネレーションシステム、工業随伴ガスの回収利用、企業エネルギーの管理制御センターの建設、省エネ産業育成などの重点省エネプロジェクトの実施を組織し、企業のエネルギー利用効率を高める。
――建築の省エネを実施する。国はグリーン建築の発展に力を入れ、建築の省エネを全面的に推し進めている。グリーン建築の基準を確立、整備し、グリーン建築の等級評価とグリーンマーク表示を推し進めている。既存建築の省エネ改造を積極的に進め、公共建築のエネルギー消費限度額とエネルギー効率の公示制度を実行し、建築物のライフサイクル全体にわたる管理制度を確立し、建築物の解体管理を厳格にする。公共機関の省エネ計画を制定、実施し、公共建築物の省エネに対する監督・管理システムの整備を強化する。北部の暖房供給地域の既存建築の熱供給計量と省エネ改造を推し進め、「省エネ暖房」プロジェクトを実施し、暖房の老朽化した配管網を改造し、熱供給の計量料金徴収とエネルギー消費の定額管理を実行する。
――交通の省エネを推し進める。公共交通優先の発展戦略を全面的に推進し、都市間軌道交通の建設に力を入れ、環境に優しい外出移動へ合理的に誘導していく。世界先進レベルの自動車燃料消費基準を実施し、省エネで環境保護型の交通機関の利用を広め、老朽化した自動車、機関車、船舶の淘汰を加速する。交通輸送の構造を最適化し、グリーン物流の発展に力を入れる。鉄道電化の比率を高め、空港、埠頭、駅の省エネ改造を行う。新エネルギー自動車の研究開発と応用に積極的に取り組み、ガス充填スタンドや充電スタンドなどの関連施設を科学的に計画し、建設する。
――国民全体の省エネを提唱する。省エネの教育と広報を強化し、都市部と農村部の住民がグリーン消費のパータンと生活スタイルを形成するよう奨励誘導し、国民全体の節約意識を強化する。公共機関の省エネ基準と規範を厳格に執行し、政府機関が模範を示し先導的役割を果たすようにする。社会各界の広範な参与を働きかけ、コミュニティ、学校、政府機関、兵営、企業の省エネ行動を積極的に展開させ、社会全体の省エネにおける持続的効果のあるしくみの構築に努める。農業と農村の省エネ・排出削減を普及させ、省エネ型住宅の建設を推し進める。
|