去年２月、母親になったKHさんは、日々の忙しさと嬉しさの様子を昨年暮れ、メールで送ってくれた。

≪育児生活は思った以上にばたばた過ごしています。まだ喋ることはできませんが、時々、「ママ、ママ」と大きな声を出したりしています。「お耳はどこ？」ときいたら、なんとなく耳のところを指したりできるようになっています。話ができるようになったら、日本語も教えたいと思います。≫

一つひとつの成長が楽しみなKHさんの小宝宝

学部生時代からまじめで頑張り屋だったKHさんだが、日本語の作文コンクールに応募するのを諦めたことがあった。「諦めは後退です」と応募するよう励ました。以後、いろいろなことに前向きに挑戦し、北京大学大学院の研究生となり修士号を取得した。日本企業に就職していた時、JR東京駅で数年振りに再会することが出来た。近くの喫茶店で、これまで歩んで来た道程や将来のことなどを語り合った。「幼馴染と結婚して、幸せな家庭を持ちたい」との夢を話していた。その時は漠然とした思いだったようだが、数カ月後の一昨年５月、長いメールで≪１０数年振りで会った高校時代の級友と結婚しました。≫と、披露宴の写真を送ってくれた。

その年、日本では２週間連続して台風に見舞われ、風水害や土砂崩れが発生、火山噴火により５８人が死亡、５人が行方不明になる災害が発生した。しかし、台風一過では久しぶりの青空となった。≪どんな災害に遭ってもその後には、必ず空いっぱいの青空になることを自然は教えてくれるようです。どんな困難や大きな壁に当たっても、決して諦めず希望を持って前進してください。そうすれば夢は必ず実現します。≫と励ました。

KHさんは出産３カ月後の様子を次のように知らせてくれた。

≪母乳が足りず四苦八苦したり、夜泣きされたり、抱っこし過ぎて腕が痛くなったり、睡魔と闘ったり慌ただしい毎日を過ごしています。しかし、寝付いた時はその可愛らしい顔に初めて笑顔が浮かんだ時は嬉しかった。あやすとよく笑ったり、目で追うようになったり、声をかけると嬉しそうに声を出したりしています。この一つひとつの成長が今の私にとって何よりの楽しみです。がんばります。≫遠くからこの頑張りを見守ってやりたいと思う。