貿易、台湾地区、南中国海、人権など各方面のネガティブな事件が重なり合い、中米関係は1979年の国交正常化以来稀に見る低調期に突入した。中国の戦略界でしばらく議論の焦点となったのは、もしも米国の対中政策が全面的に中国を抑え込むものへと転換した場合、中国は戦略上どのような対応を行うべきだろうかということと、中国自身の改革発展戦略はどのような調整が必要だろうかということだ。この議論は未だに行われているが、依然として結論は出ていない。
ブエノスアイレスでの会談が成功した状況下でも、中米の多くの専門学者とメディア関係者は、両国関係は二度と過去のようには戻れず、経済貿易摩擦の長期化を含む「新常態」は恐らく双方ひいては国際社会が受け入れざるを得ない現実的な流れだと感じている。
しかし中米双方は、両国の利益はあまりに深く融合しており、両国関係の変動による影響は計り知れず、調和することが不可能な構造的矛盾があったとしても、全面対立と正面衝突は発生し得ないと理解している。
ブエノスアイレスでの会談で、中国側は依然として「中米の共同利益は溝よりも大きく、協力のニーズは摩擦よりも大きい」という判断を堅持し、明確に表現した。双方は積極的な行動をとり法の執行と麻薬取り締まりでの協力を強めることに同意した。
中米は2つの大国として、世界平和と繁栄を促進する上で共に担う責任はますます大きくなっており、協力は双方にとって最良の選択であり、習主席は「我々は共に両国関係の未来を描いていかなければならない」と述べている。両国元首は、中米関係は必ず好転させる必要があり、また必ず好転するとし、双方は協調、協力、安定を基調とする中米関係を推進することに同意した。
これは美しいビジョンというだけではなく、現実的な選択でもある。しかし多くの不確定なリスクに直面する中で、どのような結果が生まれるかは時間が示してくれるだろう。
(安剛 本誌特約ライター、盤古智庫高級研究員)