実際、中国はルールの制定を通じて南中国海の平和と安定を維持するために行動してきた。１９９９年、中国とＡＳＥＡＮ諸国は交渉の末「宣言」を発表した。２０１３年に「規範」協議がスタートし、今年の５月に双方は「規範」の枠組み草案について合意した。また８月に開かれたＡＳＥＡＮプラス1（中国）外相会議は「規範」の枠組み文書を承認し、１１月のＡＳＥＡＮプラス1（中国）首脳会議では、「規範」条文に関する協議の始動が発表された。この一連の動きは南中国海地域の全体的安定の維持に重要な貢献をしてきた。 

中国は、一方では米国、日本、オーストラリアなど域外各国が宣伝する「ルールに基づく秩序」のうち中国を念頭に置いた部分に対し、胸に成算を持ち、ぶれることなく取り組んでいく必要がある。もう一方では、積極的に発言権と主導権を握り、中国の戦略的目標と各国の利益に合致する地域のルールと秩序を構築すべきだ。このようなルールと秩序は、今までの成果を踏まえ、中国が提唱・支持し、ＡＳＥＡＮ諸国が参画する地域各国の共通認識を最大限に体現し、南中国海地域の領土紛争と海洋権益紛争をコントロールし、対立の激化と域外勢力の介入を防止し、「一帯一路」（「シルクロード経済ベルト」と「２１世紀海のシルクロード」）の枠組み内で海上実務協力を推進し、南中国海情勢の全体的安定を維持するものでなければならない。

こうした意味から言えば、すでに始動した「南中国海における行動規範」条文に関する協議は、現在の南中国海で「ルールに基づく秩序」を構築する上で最も重要な足がかりだ。中国は戦略的観点からこの協議と交渉のプロセスを認識し、把握しなければならない。 

（呉士存：中国南中国海研究院院長、中国・東南アジア南中国海研究センター理事会主席）

「北京週報日本語版」2017年11月22日