――内在する苦境

（１）行動上の拘束力が弱く、Ｇ２０メカニズムの効率が下がっている。Ｇ２０各メンバーの行動に関する強力な拘束メカニズムがなく、Ｇ２０メカニズムの運営効率が下がっている。

（２）権力上の不均衡により、Ｇ２０の団結力が損なわれている。欧米など先進国は一貫してＧ２０において主導的地位にあり、新興発展途上国の力を結集して共同で経済グローバル化問題に対応しようとする一方で、発展途上国の力が強大になると自国の国際的地位や発言権に影響するのではないかという懸念も抱いている。権力上の不均衡によって利益分配の不均衡が生じ、Ｇ２０メンバー間の団結力にも影響する可能性がある。

（３）議題上の不合理により、Ｇ２０の核心ガバナンス能力が弱まっている。Ｇ２０の議題は絶えず拡大しているが、Ｇ２０は現在グローバル・ガバナンスを行うに足る実力を備えておらず、その責任と能力がマッチしていない。経済・金融分野以外の課題にあまりに早急に、あまりに多く取り組んだ場合、かえってＧ２０の経済・金融面の核心ガバナンス能力が分散されてしまう。

（４）経験上の不十分さにより、Ｇ２０の適応力が試されている。発足からそれほど経っていない比較的若い国際会議であるＧ２０は、体制メカニズムの面でさらに完善すべき点がある。現在、世界経済の発展は不確実性に満ちており、Ｇ２０の経済発展趨勢に対する事前判断力と臨機応変力が試されている。