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トランプ牽制の手立て
安剛(本誌特約評論員、盤古智庫高級研究員)  ·   2017-01-05
タグ: 中米関係;トランプ氏;政治
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例えば経済貿易問題では、中国側はすでに米国と真っ向から対立するための「ツール・ボックス」の準備に着手していると信じる理由がある。トランプ氏が選挙公約通りに中国の対米輸出製品に対し勝手に高い関税をかけ、横暴にも中国を「為替レート操作国」呼ばわりしたら、たちまち米国債投げ売りの嵐が起き、米国の自動車メーカーは中国における販売チェーン価格操作を理由に巨額の罰金を科せられ、米国中西部の州は対中農畜産品輸出が困難になったことを理由に不満を噴出させるだろう。いずれにしても、やって来るのはどちらも得るところない貿易戦、金融戦だ。中国は損失を受けるだろうが、一方の米国もさらにひどい負けを喫することになる。トランプ氏は、中国の協力がなければ、自身が豪語した米国経済成長率を4%にするという公約からますます遠ざかることに気付くだろう。

南中国海問題は近年、中米が地政学的戦略の意味合いで戦いを繰り広げる主な舞台である。2016年末になってから、中国の南中国海における島嶼・岩礁建設が重大な進展を遂げ、フィリピンのドゥテルテ政権と中国が関係を改善したことに伴い、情勢は中国側にとって有利に傾き始めた。12月下旬には中国海軍が南中国海水域で米国無人潜水機を捕獲するという事件が発生し、トランプ氏もこの事件に注目した。

現在中国側はすでに潜水機を米軍に返還したが、この件はトランプ氏とその周囲の現役・退役軍人たちに、もし南中国海問題を利用して中国を「テスト」したり「侮辱」したりしようとすれば、うまい汁を吸える可能性がないばかりか、かえって「テスト」され、「侮辱」されるという注意を与えることになった。なぜなら中国は南中国海ですでに軍事安全保障意義上の戦術集中優位性を持ち、戦略的抑止優位性も手に入れつつあり、予想外のものも含め、選択できる対応手段が絶えず増えているからだ。

もう1つの問題は朝鮮核問題である。中国は一貫してこの問題でできる限り米国側と足並みを合わせる態度を取ってきた。最近の例では、国連安全保障理事会で朝鮮核ミサイル行為に対する追加制裁決議に賛成票を投じた。安全保障理事会の朝鮮に対する各制裁決議についても、中国は真剣に実行している。大統領就任後、トランプ氏が東アジアで緊急に取り組まなければならない最も重要な安全保障議事日程は実のところ中国をめぐるものではなく、朝鮮の核ミサイル問題である。なぜなら、朝鮮は核技術とミサイル技術の統合という目標に近づきつつあるからだ。朝鮮の5回目の核実験後には、米国国内で朝鮮の核ミサイル能力に対する再評価が始まっている。中国と協調しなければ、トランプ氏のアジア安全保障対応における最初の試みは挫折することになるだろう。

中米は互いに軽視することのできない相手であり、両国関係の安定的発展は双方の根本的利益に合致し、世界平和と繁栄の重要な前提保障でもある。中国国家主席が2016年11月14日にトランプ氏と電話で会談した際に強調したように、「協力が中米両国の唯一の正しい選択」なのである。

中米関係をよりハイレベルでより成熟した状態へと導いていくという中国政府の意志は誠意あるものであり、トランプ氏の対中政策傾向についても結論を急いではいない。しかしトランプ氏が最も理解するべきなのは、米中間の急務は大国の戦略的協調の新たな手本を確立することであって、何か相手にダメージを与えられる問題で互いに「持ち駒を奪う」ことではない。

「北京週報日本語版」2017年1月5日

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