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トランプ牽制の手立て
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安剛(本誌特約評論員、盤古智庫高級研究員) · 2017-01-05 |
タグ: 中米関係;トランプ氏;政治 | 印刷 |
米国大統領に当選したトランプ氏の就任前の一連の不適当な言行により、新たな政治過渡期に入った中米関係はまだ正式に始まっていないうちから揺れ動いている。これは今後4年の両国関係にとって決して吉兆ではない。
ますます多くの兆候が、ずっとビジネスの世界に身を置いてきた政治経験のないトランプ氏が「重商主義」のスタイルと感情的な方法で対中関係を粗雑に処理し、厳粛な国家関係を「取引」と見なすかもしれないことを示している。
経験に照らすと、中米関係が直面する最も危険な局面は、核心利益問題をめぐって「手の内を見せた最後の勝負」をかけざるを得なくなることだ。中国側にとって、台湾や南中国海など国家領土主権の完全性にかかわる問題には明確な核心利益が存在する。米国にとっては、経済回復の勢いを維持し、米国が「再び偉大になる」ために基盤を築けるかどうかは核心利益に属する。
ここで言う核心利益とは、それが侵されれば、必然的に激しい報復が起き、双方ともに甚だしい代価を払うことを意味する。台湾問題で、トランプ氏が大胆にも米国の「1つの中国」政策を覆せば、「中米断交も考えられる」。中国人民大学の時殷弘教授、上海復旦大学の沈丁力教授など、複数の中国の学者がこう述べている。ブルッキングス研究所北東アジア政策研究センター所長のリチャード・C・ブッシュ氏、前ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長のエバン・メデイロス氏など、米国の学者や前外交官も、トランプ氏に対し「台湾は取引の材料ではない」と注意を促している。
より広い範囲において、中国の総合国力は急速に増強され、中米の利益はかつてないほどに深く融合し、中米関係議事日程の設定能力は大きく向上した。トランプ政権がある分野を選んで中国にダメージを与えた場合、トランプ政権はすぐに気づくことになるだろう。中国はそれとは別の分野で報復せずとも、同一分野内で対抗措置を取りさえすれば、それだけでトランプ政権を大いに悩ませることができるのだ。
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