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2016年、南中国海が直面する新たな課題
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朱鋒 · 2016-01-08 · 北京週報 |
タグ: 南中国海;中米両国;政治 | 印刷 |
第2に、フィリピンによる仲裁申し立てとフィリピン大統領選挙である。フィリピンは2016年6月に大統領選挙を行う予定で、現職のアキノ3世大統領は間もなく大統領職を離れる。目下のマニラの選挙情勢から見てみると、誰が当選したとしても、後継者が南中国海政策でアキノ3世政権と実質的に異なる政策を取ることは困難である。フィリピンは新政権発足後も、南中国海問題で現在のマニラの対中強硬政策を継続する可能性が高い。現在、アキノ3世は国際仲裁裁判所の判決に賭けており、フィリピン全土がマニラは必ず「勝つ」という非常に興奮した雰囲気に包まれている。オランダ・ハーグ仲裁裁判所(PCA)は2015年10月29日、フィリピンの申し立てに対し同裁判所が管轄権を持ち、仲裁手続きを進めることを決めた。これは南中国海の島・礁に対する中国の主権主張の歴史的事実と、2014年12月7日に中国政府が発表した「フィリピンの申し立てた南中国海仲裁の管轄権問題に関する中華人民共和国の立場文書」を顧みないものである。判決結果がどうであろうと、目下の南中国海の島・礁主権争いを激化させ、南中国海の情勢を更に複雑化させていくだけである。フィリピンの南中国海「司法解決に対する興奮」が冷めやらなければ、緊張する南中国海情勢の緩和にとって必要な外交上の誠意が欠けた事態がずっと続くだろう。
第3に、日本の安倍政権は引き続き南中国海問題を中国けん制の「戦略的カード」とするだろう。2016年に日本が南中国海に軍艦を派遣して米国とともに常態化巡航を行うかどうかにかかわらず、「新安保法」が実施される2016年に、日本は絶えず南中国海情勢を撹乱するに違いない。日本の南中国海政策は、日本の対中政策の戦略的動向を推し量る最も重要な風向計になっている。
とは言え、南中国海の「天」が崩れ落ちることはない。中国が自国の領土である南中国海の島・礁で正当かつ合法的、合理的に島・礁建設を進めることを阻止できる力は何もない。南中国海問題では、まさに『我が祖国』という歌の歌詞のように、「よき友が来ればよき酒でもてなすが、もし貪欲なオオカミが来るならば、猟銃で迎えるしかない」のである。
朱鋒・南京大学中国南海研究協同革新センター執行主任
「北京週報日本語版」2016年1月8日
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