2016年の南中国海情勢は穏やかでないに違いない。ひいては衝突のリスクが再度高くなるだろう。我々は南中国海の安定化を望んでおり、南中国海問題の本質が南中国海の主権と海洋権益を主張する国家間の係争だと善意をもって考えている。それにもかかわらず、多くの勢力が依然として波風を立てているために、南中国海はなおも中国の台頭戦略不動性と国の主権と民族の尊厳を守る決意との関係をどう位置付けるかを試すキーポイントとなっている。
まず、米国は南中国海問題で中国に対しさまざまな形で圧力をかけ続け、武力による威嚇、「砲艦外交」や、アジア太平洋地域のめまぐるしく変わるメカニズムを利用して中国の南中国海政策をあれこれと非難する、徒党を組んで南中国海で軍事演習や軍事巡航を実施するといったことを通して、南沙諸島の島・礁建設をやめるよう中国に圧力をかけようとするだろう。オバマ政権は南中国海問題で中国と反目しようと思っているわけではないが、存在感を強める中国の海洋軍備に対し極めて敏感になっていることと、米国のアジア太平洋地域における「兄弟国」に気合を入れるという戦略的利益があるために、オバマ政権は南中国海問題で中国を見過ごすわけにいかなくなっている。2016年には、さらに次の2つの要因が中米両国の南中国海をめぐる争いをエスカレートさせるだろう。1つは中国が島・礁に建設している施設の完成であり、いま1つは米国大統領選挙に伴う政治闘争である。この2つの要因による相乗効果によって、2016年に、中米両国は南中国海問題をめぐってより激しく競い合っていくことになるだろう。