12月10日、中国が実効支配する南沙諸島上空を米軍爆撃機B-52が飛行した。この件で、もともと緊張していた南中国海情勢が再び過熱した。今回の飛行は、10月27日に誘導ミサイル駆逐艦「ラッセン」が渚碧礁(英語名「スビ環礁」)12カイリ内海域に進入したのに続く米軍の対中国軍事挑発行為である。
表面的には、米国の南中国海問題に対する関心は「航行の自由」と南中国海問題の「解;決方法」決定権が中国にあるか米国にあるかだが、これは中米の南中国海をめぐる争いの本質ではない。
南中国海問題は、1970年代に、一部の南中国海周辺国が中国の南中国海南沙諸島の一部島嶼と岩礁を不法に占拠したことに起因する。地域の平和と安定を守るという大局から、中国は一貫してきわめて抑制的な態度を保ち、領土主権と海洋権益をあくまで守ると同時に、直接当事国とともに、歴史的事実の尊重を基礎として、国際法に基づき、交渉と協議を通じて関連係争を平和的に解決するよう終始努力してきた。
2009年に米国がアジア太平洋「リバランス」政策を始めるまで、中国とASEAN諸国はたゆまぬ努力によって、「南中国海行動宣言」高級実務者会合や共同作業部会など、南中国海の平和と安定を守るための比較的整ったルールとメカニズムを作り上げていた。南中国海問題は当事国間で効果的に管理・抑制されており、この地域の際立った問題ではなかった。南中国海地域の航行と飛行の自由も問題にされなかった。
米国は2010年以降しばしば航行の自由を口実に南中国海問題に介入し、煽り立て、南中国海問題をアジア太平洋「リバランス」政策推進の足がかりにした。最終的な目的は南中国海係争の解決ではなく、南中国海問題の国際的注目度を保ち、同盟国を抱き込んで南中国海情勢をかき回し、中国と周辺国を仲たがいさせ、中国の平和的発展を滞らせ、そのアジア太平洋における覇者の地位を守ることである。これに関連する動きは地域諸国の相互信頼を破壊し、地域の平和、安全、経済繁栄を脅かし、当然ながら地域世論からきわめて警戒された。