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豊かな自然と客家の風情 土楼から漂う米酒の香り
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本誌記者・蔡夢瑶 · 2022-11-11 · ソース:北京週報 |
タグ: 客家;文化;社会 | 印刷 |
2016年に公開された中国のアニメ映画『大魚海棠(邦題・紅き大魚の伝説)』では、客家の風情に満ちた土楼が人々に深い印象を残した。実は、アニメの中で美しく描かれた客家土楼は「囲屋」と呼ばれ、江西省南部地域にも分布している。中でも、最南端の龍南市は「世界の囲屋の郷」とたたえられており、同地の囲屋は歴史が古く、形もさまざまで、どの囲屋にもそれぞれ独自の物語が秘められている。
上空から見た燕翼囲。周囲の屋根と内部の家屋が共に巨大な「回」の字を形作っている(vcg)
山間にある江西の「南大門」
北方の山々の特徴が雄大・高峻というなら、南方の山々は秀麗・優美といえる。これら連なる峰々は南方地域に、険しい山路によって周囲から隔てられる不便をもたらしたが、一方で神秘的な宗教文化と多彩な民俗風情も育んだ。
長江以南、南嶺以北に位置する江西省は山地が多い省だ。贛江が南から北へと鄱陽湖を通って、長江に流れ込み、江西と外地とをつなぐ主要なルートになっている。重なり合ってそびえる山々は四方を守り、天然の緑の障壁を形成している。
龍南市は江西省最南端の連なる山々の間にあり、広東省に接し、江西の「南大門」とたたえられている。車で国道105号線を走り龍南市武当鎮に入ると、道沿いには緑の山々が延々と続くが、遠くには美しくて珍しい丹霞地形が水墨画のように徐々に現れてくる。
ここは「迎客山」とも呼ばれる南武当山国家級風景名勝エリアで、江西の地が南から来た客を迎える最初の風景だ。南武当山の主峰は標高864㍍、いくつもの奇峰が平地から突如そびえ、十数㌔も続いている。そのうち最も目立っている、二つ並んだ峰は、南側が武当峰、北側が将軍峰という。二つの峰はまるで空から飛んできた巨象のようであることから、「双象凌空」とたたえられている。
武当峰と将軍峰の間の「一線天」峡谷は狭くひっそりしており、視線を上げると、空が一本の線のように見える。変わった形の石が林立する谷間を歩いていると、高らかに歌う旅人に出会うことがあり、その歌声は石壁にこだましたまま、しばらく消えず、特別な趣がある。
石段に沿ってゆっくりと登ると山頂までは約40分。途中、涼風が吹き抜ける「清風関」や、絶壁に架けられた「鉄索雲梯」、天をのみ込む巨大ハマグリのような「呑天洞」などの各種景観が次々と目に入ってくる。時々、キャンプ用具を背負った登山客が横を通って一歩一歩登っていく。山頂にはキャンプエリアがあり、夜になると、大勢の観光客がそこにテントを張り、手を伸ばすと届きそうな満天の星の下で眠りにつく。
山から外に突き出るように設置されたU字型ガラス張りパノラマ展望台(1)に立つと、足元には山間に立ち込める雲海があり、南武当山の景色を一望できる。展望台は険しい崖に沿って造られており、ガラス越しに下をのぞくと垂直の山体が見られる。近年、同地は南武当山に「空中ガラス景観ベルト」を作り上げた。ガラス張りの桟道、U字型ガラス張りパノラマ展望台、ガラス張りの橋で構成され、高所を好み、刺激を求める観光客の人気を集めている。
静かな竹林の道を抜けると、山頂の武当聖廟に着く。ここは明代創建の仏教寺院だ。近年、観光業の発展により、参拝者がますます増えている。江西の山林は幽寂で、多くの高僧が修行してきた理想の地だ。早くも隋・唐時代、ここには仏教文化が浸透していた。唐代には「官職を求めるなら長安、仏法を求めるなら江西」とも言われていた。
南武当山から南西へ30㌔行くと九連山原始森林国家級自然保護エリアがある。九連山は贛江の水源で、99の峰が連なっていることから名付けられた。保護エリア内には、比較的広範囲の原生の常緑広葉樹林(2)があり、さまざまな種類の鳥類が生息している。また、ここは中国科学院動物研究所が設立した全国2カ所の野鳥観察拠点(3)の一つでもある。
九連山の広大な原生林の中には、都市の騒がしさから離れた「虔心小鎮」がある。ここに高層ビルはなく、あるのは、土を突き固めて造られた小屋と見渡す限りの竹林と茶園だけ。観光客はここで茶摘みや、昔の方法で行う搾油などの伝統的な生産技術を体験できる。小鎮の山道は急で、くねくねしており、徒歩で訪れるのに適している。山道の両側には青竹が密生し、清らかな風が吹き抜け、遠くからかすかな水音が聞こえ、竹の清々しい香りが鼻をくすぐる。遠くの山には茶樹が龍のように連なり、山間に点在するかやぶき小屋と呼応して、趣のある風景をつくり出しており、眺めていると日常に戻ることを忘れてしまう。
朝の光に照らされる九連山。この2万1300㌶の土地はうっそうとした森林に覆われ、天をつくほどの古木がそびえ、「生物資源のジーンバンク」とたたえられている(写真・肖雨)
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