2100年以上の歴史を誇る敦煌は古代シルクロードで中核を成した都市であり、敦煌のグルメも同地の文化芸術と同様に、悠久の歴史と千年にわたるロマンの担い手だ。（写真＝敦煌市文化・スポーツ・放送・テレビ・観光局提供）

胡羊燜餅（羊肉と中華餅の煮込み）

敦煌のご当地グルメといえば欠かせないのが、「胡羊燜餅」（羊肉と中華餅の煮込み）という最も庶民的な敦煌料理だ。古代、敦煌は少数民族の遊牧地であり、人々は彼らを総称して「胡人」と呼んでいた。隋・唐代以来、漢文化と胡文化が融合し、敦煌における飲食文化の発展を象徴するものとなり、胡人の食事習慣は広く知られるようになった。羊肉におおむね火が通ったら、小麦粉をこねて薄くした中華餅を1枚1枚羊の肉にかぶせる。皿に敷き詰められた大切りの羊肉、そして柔らかくて滑らかな中華餅を色味の濃いタレにからめて食べれば、お口の中に濃厚な香りが広がる。

驢肉黄麺（ロバ肉と黄麺）

鮮やかな黄金色にちなんでその名がついた黄麺は、龍のひげのように細く、しなやかでよく伸び、コシのある食感が特徴だ。この麺の歯ごたえは、ラーメン職人の腕の見せどころ。職人は両手を使い、まるで舞うように4キログラムほどの浅黄色の生地を細長く伸ばしたり回転させたりする。そうして春雨のような形状の麺ができ上がるのだ。伝統的な料理である敦煌ラーメンの製法は千年以上前からあり、10世紀末に作られた莫高窟第256窟の宋代洞窟の壁画には、ラーメンが描かれている。