四川省甘孜蔵（カンゼ・チベット）族自治州にある康巴（カンパ）高原植物園の様子（写真＝新華社提供）

四川省甘孜蔵（カンゼ・チベット）族自治州は中国南西部の山地に位置し、国際的に認められた３６の生物多様性ホットスポットの一つであり、中国の重要な生態安全障壁と重点生態機能エリアでもある。同地は生物多様性保護と経済・社会発展の一体化で顕著な成果を挙げており、人と自然が調和する共生の道を歩んできた。 

生物多様性保護のボトムラインを守る 

カンゼ・チベット族自治州石渠県では、見渡す限り緑一面の草原に竹で作られたフェンスが遠くまで連なり、その中で牧草が生い茂っている。しかし数年前までは夏に草が少しだけ生え、冬には完全に砂地となるという荒れた土地だった。現地ではさらなる状況悪化の前に砂地化していく状況を根本的に変えることを決め、竹製フェンスで土地を細かく囲って土壌の流出を防ぎ、牛と羊の糞で土壌を改良し、さらに複数の牧草を植えることで砂地化防止の成果を高めた。５、６年が経ち、荒れていた土地は緑いっぱいの草原となった。 

砂地化対策のみならず、近年、カンゼ・チベット族自治州は生態修復の推進に力を入れており、水と土壌の流出、川べりの土地の干ばつ、土地の砂地化、草原の荒地化対策などで４５８万４９００ムー（１ムーは約６．６７アール）に及ぶ生態修復を完成させ、大気質の優良率、地表水観測断面における水質の優良率、飲用水水源地の水質基準到達率がすべて１００％に達した。「生態脆弱区」を「生態モデル区」にした同地は、生物多様性保護のボトムラインをしっかりと守った。 

村民が野生動植物の守護者に

貢嘎山のふもとにある子梅村は１０世帯しかない小さな村だ。「村民が少ないけれど、全然寂しくないですよ。ユキヒョウ、バーラル、マエガミジカ、アナグマ、ヤマネコ、ユキバトは私たちの親友ですから」と村民の貢布さんは言う。 

「ここの村民は誰もが生物多様性保護の管理員であり、広報員です。保護区周辺のすべての村で巡回保護隊員を雇い、付近を日常的に回ってもらっています」と貢嘎山国家級自然保護区の責任者は言う。 

貢嘎山へハイキングに行く際、子梅村は必ず通る場所であり、観光客にとって重要な拠点でもある。日常の巡回保護のほか、村民は民宿など観光産業にも携わり、生活がますます豊かになっている。狩人や木こりも積極的に身を転じ、山の動植物の確固たる守護者になった。 

現在、同自治州管理下の各級、各種自然保護地は８３カ所、総面積は約５万５３００平方キロメートルに達し、自治州総面積のおよそ３６．１４％を占める。村民に野生動植物保護の参加者と直接的な受益者になってもらうことは、現地が生物多様性保護と発展を推し進める重要な足がかりとなっている。

「北京週報日本語版」2021年9月30日