緑に覆われた馬鞍山植林場(写真=本誌李一凡記者)
石だらけの荒れ山で木を育て、一面を緑に変える難しさは想像に余りある。「およそ60年間、私たちは絶えず造林を続けています。数世代に渡る人々のたゆまぬ努力で、6万6000ムーの人工林を作り上げました。現在では森林カバー率がすでに98.7%に達しています」と、馬鞍山植林場の柴樹嶺副場長が紹介してくれた。さらに柴副場長は「これからも緑化活動を続け、森林の質を高めていくつもりです」と意気込みを語った。
グリーン経済の発展にも繋がる生態環境の改善
生態環境の改善は、内蒙古各地の人々に増収の機会ももたらしている。
馬鞍山植林場周辺の雷営子村は、かつて農業だけをなりわいとする深刻な貧困村だったが、現在では舗装道路が敷かれ、道路の両側に民宿が数十軒並び、さらにはラフティング施設や観光桟道なども整備されている。馬鞍山植林場の植林活動によって豊かな自然に恵まれるようになった同村は、農村観光のチャンスを掴んだのだ。
「植生カバー率が高く、『グリーン資源』を豊富に持っているので、2016年から村民たちは次々と民宿や観光農業を手掛け始めました」と雷営子村村民委員会の張平主任は言う。
張主任によると、現在同村ではグルメや宿泊、農家体験などのサービスを提供する「農家楽」が29軒あり、農村観光のために設立された建築会社や観光会社も多くの雇用を生み出しており、さらにその土地で取れるわらを使った特産品の生産も、村民の増収を大きく後押ししている。
本誌記者に雷営子村の特産品を紹介する張平主任(左側、写真=本誌尹康記者)
「雷営子村は2019年に全面的な貧困脱却を実現し、村民1人当たりの収入は2012年の2900元から去年には2万元以上にまで増えました」と張主任は笑顔で語った。
環境改善が生んだ経済効果は、農村・草原観光の成長だけにとどまらない。現地の牧畜業も政府の指導のもと、生態保護と経済発展を同時に推し進めるものへと絶えずアップグレードしている。「草畜(草原保護と牧畜)バランス制度を取り入れた後、私たち牧畜民の環境保護への関心が一層高まり、過剰な放牧による草原生態への負荷が抑えられました。また、合作社や牛の繁殖センターの立ち上げにより、牛の品質も向上し、現在1世帯当たりの年間平均収入は十数万元から二十数万元にまで増加しています」とシリンゴル盟阿巴嘎(アバグ)旗で牧畜を営む孫美栄さんは本誌記者に語った。
「北京週報日本語版」2021年7月30日