「電気が来た、電気が来た！」。6月10日午後2時26分、歓喜の声が上がる中、西蔵（チベット）自治区那曲（ナクチュ）市索（ソク）県■美郷（■は口へんに戛）のチベット族の家々に灯がともった。それにより、ソク県のチベット族928世帯全てが安心して、安定した電気を使うことができるようになった。

貧困が深刻な地区において送配電網を建設することは、貧困の難関攻略をサポートするうえでカギとなる取り組みだ。国網浙江電力がチベット地区で、「標高が最も高く、エリアが最も広く、投じる資金が最も多く、自然条件が最も厳しく、施工条件が最も複雑」な送配電網建設プロジェクトを請け負い、ナクチュ供電公司を対象に、貧困が深刻な地区における送配電網の建設をペアリング支援した。

支援のミッションを請け負って以来、国網浙江電力はナクチュ供電公司と聯合業主プロジェクト部を設立して、「一市が一県をサポートする」という支援スタイルを確立し、11の地級市（省と県の中間にある行政単位）の営業所が管理者や技術者220人を派遣して、12プロジェクトを実施し、10kV以下の送電線3913.82キロメートル、配電用変圧器1042台を新設、または取り替え、貧困人口約10万人以上、2万4935世帯に益が及んだ。プロジェクトの投資額は10億3000万元（1元は約15.9円）に達した。

国網嘉興供電公司はナクチュソク県を対象にペアリング支援し、その支援事業の総投資額は4489万4000元に達した。そして、中・低圧の送電線177キロメートルを新設、または取り替え、配電用変圧器55台を取り付けた。5月18日、■美郷の巴次の配電用変圧器エリアの取付工事が完了した。それにより、ソク県の5ヶ所の送電網新設主体工事が完了し、送電の準備が整った。

「電力メーターを設置して、電気が使えるようにしなければならないのはあと73世帯。今の施工ペースからすると、必ず前倒しで完成する！」。5月26日夜、国網嘉興供電公司のチベット自治区支援グループの責任者・鍾其氏の灯りがともった部屋からは、声高に話し合う声が時おり聞こえてきた。

数十日前、鍾氏は同僚15人と共に、浙江省嘉興市からソク県へやって来た。到着した翌日、鍾氏はすぐに現地の事情に応じた管理の枠組みや業務メカニズムを制定した。新型コロナウイルスの影響で、物資や設備の到着が遅れたため、鍾氏が筆頭となって、毎日、電話やインターネットを活用してサプライヤーと連絡を取り、物資の生産、輸送の進捗状況をリアルタイムで追跡した。その後、物資の管理者がサプライヤーとの間に、「1 対多」のリアルタイム連絡メカニズムを立ち上げた。4月18日、ソク県のプロジェクト材料の供給率が、まず100％に達して、その後の送電網設置プロジェクトがスムーズに進むよう物資の面の基礎が築かれた。

その他、嘉興市のチベット自治区支援担当者は、全過程で「前方は現地で支援+後方は専門的な下支え提供」というメカニズムを採用し、支援を展開した。また、優位性ある経験と組み合わせて、実際の操作の解説、情報知識講座、操作規程の共同制定などを通して、支援対象の的を絞って研修を行った。

嘉興電力のチベット自治区支援担当者・何平氏は、「チベット自治区支援で最もカギとなるのは現地の電力業者の実際の操作知識、スキルを強化することで、現地の貧困グループが貧困を脱却するようサポートし、『支援の最後の1キロ』を開通させなければならない」と語る。

長年にわたり、チベット自治区支援者がバトンを引き継ぎ、順番に現地の電力会社の従業員を対象にした研修を実施して、施工の取り組み方、質の管理、安全管理、後方管理、資料整理などの面の経験をシェアし、ナクチュや林芝（ニンティ）地区の電力業務のレベルが大幅に向上した。チベット自治区支援者は、送配電網を基準化して生産ラインをチベットに導入するだけでなく、理論・技術の育成と現場指導を組み合わせて、現地の同業者が確実に送配電網の工場化技術をマスターすることができるようサポートしている。

送配電網の工場化技術の下支えの下、ナクチュの標高4500メートルの薩措村は、チベット主送配電網と連結し、全面的な電気供給が実現した。現在、高原作業の時間が大幅に短縮し、さらに多くの村が安定して電気を利用できるようになった。

「人民網日本語版」2020年11月18日