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傅瑩報道官の「柔と剛」
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本誌記者 蘭辛珍 · 2016-03-06 · ソース:北京週報 |
タグ: 傅瑩;記者会見;社会 | 印刷 |
続いて傅瑩報道官は、南中国海問題における中国の態度と、米国が考えるところの南中国海で中国が進める軍事化について説明した。「南中国海問題については、先般中国の外交部部長が米国を訪問し、詳細に説明してきました。全人代代表を含む中国の一般の人々の考えを2つお話しましょう。第一に、米国が南沙諸島の島嶼や岩礁からあんなにも近いところに軍艦を派遣して武力を誇示することを、中国人はよく思っていません。非常に反感を買っています。南沙紛争について、米国はもともと特定の立場は取らないと言っていました。今の米国のやり方や発言は緊張感を煽っているように感じられ、米国の動機に大きな疑問を抱かせるものです。第二に、中国の南沙諸島での島嶼や岩礁の拡張は必要なものです。中国の国民も支持していますし、こうした島嶼や岩礁は大陸からかなり離れており、自前の防御能力を持ち、必要な防衛措置を取らなければならないと考えています。これが大方の人の考え方です。なぜなら中国はこうした国々が南沙の島嶼や岩礁を不法占拠するのを認めたことは一度もないからです。中国の『争いを棚上げし、共同で開発する』という方針は、主権を放棄しないことを基礎にして打ち出したもので、この地域の平和と安定を守るためでもあります」。
米国のこの記者は軍事化を理由に南中国海問題に言及したが、南中国海問題の実質は軍事化問題ではない。そのため傅瑩報道官は真剣かつ厳粛な口調で次のように述べた。「我々の領土主権と我々の海洋権益がさらに侵害されたら、中国人民は不愉快だし、賛成もしない。しかも心配になるでしょう。南沙の島嶼・岩礁を拡張すれば、より良く我々の利益を守ることができるようになります。同時に中国がこの地域で公共サービスを提供する力も高まり、この地域の平和を守る力も高まります。これは良いことです。この問題について、中国人の考え方は一致していると考えます。これは軍事化ではない。防御能力を持ったからといって軍事化と言うことはできない。この問題はしっかりと話し合わねばなりません。何が軍事化なのか、線引きはどこかを、学者の皆さんにじっくり話し合っていただいてもいい。この問題に関して、中国にこんな風にレッテルを貼るのは望ましくありません。かえって多くの問題を混同させてしまいます」。
最後に、傅瑩報道官はなおも米国にそれとなく注意を促すことを忘れなかった。「米国が本当にこの地域の平和と安定に関心を寄せるなら、中国と周辺諸国の対話による紛争解決を支持するべきで、反対の方向に力を注ぐべきではありません。それではほかに何か別の思惑があるように思えます」。この言葉は柔らかな口調ではあったが、非常に重みのあるものだった。質問した米国人記者が聞き取れたかどうかは分からないが、いずれにしても私には分かった。メッセージは1つ。「あなたがた米国が南中国海問題で私心を持っていることは分かっている。やりすぎは禁物だ」。
傅瑩報道官の受け答えを詳しく聞いてみると、口調、表情や態度、言葉の選び方のどれをとっても、第一印象は温和で、謙虚で、穏やかであり、はっきりとした強さには欠けている。だが後でよく振り返ってみると、傅瑩報道官の言葉は「柔中に剛あり」で、柔らかさの中に剛毅さがある。しかも礼儀深く節度があり、傲慢でも卑屈でもない。これは実のところ数千年の儒家文化の薫陶によって育まれた典型的な中国人の姿であり、国際関係処理において一貫して堅持してきた規範である。国際関係処理に当たって一部の西側政治家の脅迫めいた発言をよく耳にするが、それでは問題は何も解決しない。中国人は大げさな話や脅しの言葉を口にするのは得意ではない。だが上記のような中国人の英知は、真似しようと思ってもできるものではない。
傅瑩報道官の「柔と剛」は、実のところ中国の国際問題における態度の象徴なのだ。
「北京週報日本語版」2016年3月6日
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