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【40代から始める日本人の中国生活の記録】小旅行の楽しみ
本誌記者・植野友和  ·   2022-10-18  ·  ソース:北京週報
タグ: 北京;旅行;中日交流
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「旅に出たい!」と思っても、大人はそう簡単に仕事を休めない。家庭持ちの人ならなおさら時間はないだろうし、遠出はお金だってそれなりにかかる。だが、都会に暮らす身としては、たまにはどこかに出かけて気分転換をしたいもの。そこでオススメなのが週末を利用して行く小旅行である。

筆者は先日、北京市郊外の農村を一泊二日で訪れた。のどかな場所でゆっくりとした時間を過ごし、都会の疲れを癒やしたい。それくらいの目的意識でぶらりと行ってきたのだが、思った以上にさまざまな発見があったため、今回のコラムではその経験を皆さまとシェアしたい。

北京市内から車で出発し、西に向かって山道を走ること2時間程度。そこには爨底下村(さんていかそん)という400年以上の歴史を持つ集落がある。同村は北京市西部の門頭溝区斎堂鎮西北部にある峡谷の中ほどに位置し、谷底の小さな平地とその近くの山肌に人家が密集しており、その建築物の数々は一目見ただけでかなりの年代物であると分かる。自分が宿泊した民宿のオーナーの話によれば、ほとんどの建物は明代以降のものであり、華北で唯一、明代・清代様式の建築群がほぼ完全な形で保存されている村なのだという。

実際、保護の取り組みは村民たちによって熱心に行われているようで、人々は古い四合院をレストランや民宿、はたまた住居として今も使用しつつ、修繕に際しては昔のままの容貌を保つよう、細心の注意が払われていた。石造りの家々の間に入り組む狭い路地を進んでいると、まるで数百年前にタイムスリップしたかのような気分になる。そのような趣を求めて同地を観光する方は多く、筆者は平日に訪れたにも関わらず、村内には若者からお年寄りまでかなりの人がいた。それでも北京市内の名所に比べれば静かなもの。爨底下村には中国の観光地にありがちな大混雑もなく、ストレスフリーで静かに巡れる景勝地という印象を受けた。

さて、村内をぐるりと巡って気づいたのは、村の名前にも含まれる「爨」の字をモチーフとしたオブジェや文化クリエイティブ製品、アートなどの数々である。そもそもこの字、中国の人々にとっても決して日常的に目にするものではないそうだが、火をおこす、かまどといった意味がある。かつて山西省から移民としてやってきて、厳寒期には凍りつくほど冷え込むこの地に村を開いた人々は、好んで「爨」の字を使ったという。また、周囲の山がかまどの足のように見え、村はかまどの底に当たるとして爨底下村との村名が生まれたそうである。いずれのエピソードも教えてくれたのは村民のおじいさん、おばあさんであり、突然訪れた自分のような外国人にも優しく接してくれた。同地は標高が650㍍以上あり、自分が訪れた9月下旬にはすでに冬の気配を感じるほどで、きっと寒さは厳しいに違いないのだろうが、人々の心からは温かいものを感じたのだった。

昼間は観光客で賑わうが、多くの人は日帰りのため、夜には村中がしんと静まる。北京の中心部ではまず味わうことのできない静寂である。シックな内装の民宿で一夜を過ごし、早朝には散歩をして、山地ならではの清涼な空気を味わう。つくづく思ったのは、自宅から車で2時間程度しか離れていない場所に、これほどの別世界があったのかという驚きだ。

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