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北京で感じる春の風物詩
本誌記者・植野友和  ·   2022-04-15  ·  ソース:北京週報
タグ: 北京;春;中日交流
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長い冬が終わり、北京に春がやってきた。華北の春はとても短く、日本のように四季の長さは均等ではない。とはいえ、花見や「春遊」と呼ばれる小旅行など、この時期ならではの楽しみは多く、北京市民にとって春が1年で最も待ち遠しい季節であることに変わりはない。しかし同時に、春の風物詩には人々に歓迎されないものもある。その代表例が黄砂と柳絮である。

黄砂は言うまでもないが、柳絮の方は説明が必要だろう。簡単にいえば柳の木の種子で、タンポポの綿毛のようなものとイメージすればよい。暖かくなると空気中に舞い始め、春の盛りともなれば、柳絮で空がうっすら白く見えることもある。

北京で暮らす人々は、一般的に黄砂も柳絮も毛嫌いする。掃除が大変、アレルギーだから困るなど理由はさまざまである。自分も花粉症持ちなので、そのような気持ちは分からなくもない。それでも、自分は黄砂と柳絮に春の趣きを感じてしまう。より正直に言えば、それらを楽しんでいる自分がいるのである。

黄砂は主にモンゴルのゴビ砂漠から飛来してくる微粒子状の砂であるという。天気予報で黄砂注意報が発令され、実際に空が黄色く染まると、自分はかつて訪れた中国の砂漠につい思いを馳せてしまう。それは地平線まで続く砂の海原というべき圧倒的な風景であり、人生で一度は見ておくべきと断言できる美しさ。自分が旅をしたことがあるのは新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠の方だが、ゴビ砂漠は果たしてどのようなところであろうかと、黄砂で黄色く染まった北京の空を見つつ、夢想してしまうのである。最近は中国北辺で緑化活動が進んでおり、黄砂の襲来もかなり減ってきたため、そのような思いに浸る機会が減っている。

ふわふわと飛ぶ柳絮は、見ようによっては春に降る粉雪のような風情がある。また、どこからこれほど大量の柳の種が飛んでくるのか、想像するのも楽しい。掃除をする人、アレルギー持ちの人にとってはやっかいな存在であることは承知の上だが、自分は柳絮の季節が嫌いでないどころか、むしろ毎年待ち望んでいる。

もっとも、自分がこのような思いを持つのは、北京での暮らしがそれほど長くないことも、きっと関係しているだろう。今年でちょうど3年、生まれも育ちも北京という方に比べればまだまだ「お客さん」であり、実際に日々の暮らしの中で、いまだにさまざまな発見がある。黄砂や柳絮を単に煩わしいものと感じられるようになれば、自分もこの地になじんだ証拠。でも、今後住み慣れたとしても、できれば今のように季節の風物詩をいつくしむ気持ちを、持ち続けていきたいと思っている。

「北京週報日本語版」2022年4月15日 

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