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G7の重要性低下、南中国海問題言及で軽々しさ際立つ
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· 2016-04-12 |
タグ: 南中国海;G7;政治 | 印刷 |
先進7カ国集団(G7)外相会合が11日、広島で閉幕した。発表された3つの声明のうち、「海洋安全保障に関する外相声明」の内容は早い時点で日本側から明らかにされており、日本は採択に向けて働きかけを続けてきた。しかし発表された声明の内容は、日本側が明かしていた内容よりかなり曖昧なものになり、「中国」についての言及もなかった。これは明らかに他のG7参加国と米日の妥協の産物である。
「海洋安全保障に関する外相声明」のうちほとんどの内容は通り一遍のものだが、そのうちの一段落には、「東中国海と南中国海における状況に対する懸念」、「一方的な現状変更への強い反対」、「大規模な埋め立て、拠点構築やその軍事目的での利用といった行動に対する自制要求」といった内容が盛り込まれた。しかしそこにも日本側が盛り込むよう声高に主張していた「軍事化反対」などの文言はなかった。
G7声明の南中国海問題言及に加えられる内容はあるか、その一字一句について、日本メディアは何日も分析を続けていた。日本にとって、この問題は大変重要ということらしい。
しかしG7全体の重要性が低下していることは争いようのない事実だ。今年9月に中国の杭州で開催されるG20サミットと、5月に日本の伊勢志摩で行われるG7サミット。どちらのほうが世界に及ぼす影響が大きいかは、ほとんど問題にもならない。
世界の経済・政治構造は変化しているというのに、G7はいささか「水の中に固定された石」のようで、それだけが変わっていないように見える。中国が含まれていないため、G7が世界を論じる上での権威性は大きく損なわれている。またロシアもはじき出されてしまったため、G20の豊富さに比べるとその衰退がいっそう際立つ。
先進7カ国はもはや世界の「中心」ではないが、G7はいまだに自分たちが中心であるように装っている。特に熱心なのが日本だ。日本が促して外相会合が南中国海関連の声明を採択できれば、南中国海問題がその通り決着するとでも思っているかのようだ。
問題は、世界で人気が低下し続けているこの会員制クラブのような活動だけでなく、外部の世界も自国にとって同じように重要であることを多くのG7参加国が知っている点だ。こうした国々は明らかにG7を排他的選択にしようとは思っていない。例えば、広島外相会合を中国との関係発展の障害にしようとは考えていないのだ。
G7のうち4カ国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)参加国であり、これらの国の中国との貿易額は日本との貿易額より多く、その指導者はここ数年東京に行くより北京に来るほうがずっと多い。
国際体系に中国など新興国の影響力が加わったという変化を認めなければならない。これを前提としない国際ガバナンスは必然的に要領を得ないものになる。G7が世界経済を論じる権威性は大きく弱まり、その政治代表性も狭まり、世界範囲の協調力はますます大きく不足するようになった。したがって、口を出してばかりで行動が少なくなれば、G7はますます重みに欠け軽々しく見えるようになるだろう。
「北京週報日本語版」2016年4月12日
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