声明で南中国海問題を仰々しく取り上げるよう主に後押ししたのは恐らく日本だ。南中国海問題において英国は相対的に非介入だが、日本は近年明らかに介入を強化している。日本は2015年版防衛白書に南中国海問題を盛り込んだほか、多国間の場で繰り返し発言し、「中国の脅威」を誇張している。日本はフィリピンなどとの交流も強化し、「海上安全協力」を促進するとともに、フィリピンの基地の自衛隊による使用についても話し合っている。
狙いは別の所にあり。日本が南中国海問題に介入して集団的自衛権の行使容認を推進するのは、東中国海での中国の主権権益への挑戦と策応したものだ。
日英声明の背後には米国の影もある。両国は共に米国の重要な同盟国だ。日英関係接近の過程において「米英日新同盟関係結成」との論調が出たこともある。南中国海問題において米国は対中圧力を強化するとともに、同盟国に連携を求めている。今回の日英声明の南中国海問題における立場表明は米国と高度の一致を保っている。
だが日英両国には決して遠慮がないわけではない。言い回しを見ると、共同声明は中国を直接名指しせず、「全ての関係国」との表現を用いた。また、東中国海情勢にも懸念を表明したが、その具体的内容について説明はなかった。これは英側が中日間の争いに対してより慎重であり、日本のために表に出たくないことを反映している。現在中英は積極的に協力を展開し、両国関係は「黄金時代」に入っている。英外相は訪日前に北京を訪問し、両国首脳の重要な共通認識を実行に移し、協力を深化した。日本も中日関係立て直しの流れを大切にしており、両国関係が再び深刻に後退することは避けたい考えだ。したがって両国は南中国海問題において中国に挑戦する急先鋒となることは望んでいない。