今回の代表団のメンバーの中には、残留孤児二世も多くいる。メンバーの成川良子さん(55歳)は歓迎会の間に、ずっと写真と動画を撮っていた。それは体の原因で来られない母のためだそうだ。彼女は取材に対し、「母も私達兄弟のみんなも中国に大変関心を寄せています。国慶節の日に、母とネットで閲兵式を見ました。母は『みんな足並みがそろっていてすごいね』『腰の様子が良くなったら、また中国に、ハルビンに見に行きたい』と、涙を浮かべながら見ていました」と語った。
メンバーと記念写真を撮る成川良子さん(左から2番目)(撮影・本誌記者金知暁)
今年64歳になった代表団メンバーの青木和平さんも残留孤児二世の一人だ。写真製版の会社を定年退職した青木さんは今、年に3回ほど河南省へ行き、太極拳に熱中しているそうだ。最初は公園で朝のトレーニングとしてやっていたが、周りで興味津々に見る日本人から「私にも教えて」とお願いされたのがきっかけで、青木さんは現在、東武太極東京研修会・和平武術太極拳愛好会の代表を務めており、より多くの日本人に、太極拳をはじめ、中国の伝統文化を知ってもらいたいという思いで、太極拳を教えている。
2019年4月、第2回東京国際伝統武術文化祭に参加した青木和平さん(前列、右から4番目)とその教え子たち(写真=青木和平さん提供)
「中国帰国者・日中友好の会」の中国訪問はこれで4回目となった。「中国帰国者・日中友好の会」は戦後の中国残留孤児によって組織された日本のNPO法人だ。2008年5月に設立されて以来、中国残留孤児・帰国者の社会福祉支援事業をはじめ、中日友好・国際協力事業にも力を入れ、今回の訪中滞在中も、四川省成都市仁寿県教育発展促進会に100万円を寄付した。また、代表団は10月23日に、北京・人民大会堂で中国人民政治協商会議の劉奇葆副主席と面会し、北京滞在中には中国伝媒大学の学生と座談会を行う予定だそうだ。取材に対して、池田澄江理事長は「今年は中華人民共和国成立70周年にあたり、私達も祝賀の意を送りたい」と語った。
「北京週報日本語版」2019年10月23日