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中国の日本純文学愛好家の新選択肢―平野啓一郎
  ·   2017-08-28  ·  ソース:
タグ: 日本文学;愛好家;中日交流
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「平野啓一郎」という名前は、中国の日本文学ファンには、あまり聞きなれない名前であろう。だが、1999年、この名は日本の文壇を突然騒がせ、社会的な話題になった。当時若干23歳で、京都大学の学生だった平野啓一郎氏は処女作「日蝕」で、日本純文学の最高峰である第120回芥川賞を受賞。当時の受賞者最年少記録を更新し、日本文学評論界では「三島由紀夫の再来」とささやかれた。同年、「日蝕」の売上は56万部を記録し、文学界の新人ジャンルでは「超ベストセラー」となった。引き続き、平野氏は第2作となる「一月物語」を発表した。日本古典小説風の同作品は、フランス語、スウェーデン語、アラビア語、韓国語などの言語に次々と翻訳された。その後彼は、「葬送」、「決壊」、「ドーン」などの一連の作品を発表。フランス芸術文化勲章や芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞し、1970年代生まれの日本人作家の中でも名実ともに備わった中堅作家となった。平野氏が昨年発表した「マチネの終わりに」も、16回重版を繰り返すベストセラーとなり、渡辺純一文学賞を受賞した。(文:邵劼。光明網掲載)

若い頃に名を成したこの天才作家をめぐり、彼が有名になった経緯や少年時代のエピソードは、ずっと世間の注目を集めてきた。だが、日本メディアの取材に対する彼の答えは、最初の頃は意外なものだった。「小さい頃は、読書が大嫌いだった。それよりも運動場で野球やサッカーに興じる少年だった」と平野氏は話した。

彼の答えに、我々はつい好奇心を抱いてしまう。このような少年時代を過ごした彼が、一体なぜ最終的に作家の道を選んだのだろう?平野への取材記録から、転機が訪れたのは、彼が中二の時に電車の中で三島由紀夫の小説「金閣寺」を読んだ時だったことが判明した。この小説を読了したことをきっかけに、平野の読書に対する興味が高まっていく。高校時代は、トーマス・マン、ボードレール、ドフトエフスキー、澁澤龍彦、大江健三郎らの作品を読みふけった。京都大学入学後は、西洋哲学や宗教学に興味を抱くようになり、ミルチャ・エリアーデ、マルティン・ブーバー、トマス・アクィナスらの著作を、大学の図書館から借りて読んだという。

おそらく、この若さにして膨大な読書量と理論的な深い思考を通じ、彼は大学在学中に処女作「日蝕」を書きあげた。当時、執筆素材を準備するために、十数巻で構成されている平凡社「中世思想原典集成」を1年がかりで読破したという。小説「日蝕」は、中世末期にパリでトマス神学を学ぶ学生を主人公として、当時の神権と俗世間との対立と融合に揺れるフランスを描いた。第二作「一月物語」は、純東洋風の形式で、古典怪談を彷彿とさせるタッチで近代の幻想的な世界が表現されている。同小説は、「黄梁一夢」や「庄周夢蝶」など中国の古典物語を伏線とし、主人公のモデルは、自ら命を絶った明治時代の詩人・北村透谷(1868-1894)で、夢とうつつが交錯する手法を用い、明治時代の山奥の深谷を舞台とした妖艶な純愛ストーリーが描き出されている。

この日本の新世代作家について、浙江文芸社外国文学部の担当チーフ・柳明曄氏は、中国社会科学院外国語所の許金龍氏と日本文学に関する商談をしていた際に、初めて知ったという。許氏はその時、日本で非常に人気があるが、中国国内ではまだ名前が知られていない2人の作家を取り上げ、とても残念なことだと指摘した。そのうち1人は、芥川賞受賞作家で選考委員も務める小川洋子氏、もう一人は平野啓一郎氏だった。平野氏について、許氏は、「日本の若手作家トップ3に入る実力派であり、十分期待できる」と高く評価した。このような経緯から、浙江文芸社では、この2人の日本人作家が大いに注目されるようになり、日本で版権を所有している株式会社コルクと翻訳出版について繰り返し話し合いを重ね、版権料に関する協議を通じて、最終的にこれら2人の作家の一連の作品に関する版権を獲得した。「偶然はあるものだ」という諺の通り、今年3月、担当の編集者は平野啓一郎氏の「日蝕」と「一月物語」の翻訳原稿を受け取り、翻訳作業の準備を進めようとしていたときに、平野氏はちょうど北京大学から招かれ、中国でテーマ講演をする機会を得た。このことを聞いた柳氏と編集者は、この神秘的な作家に会うため北京に赴いた。

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