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日本国債市場に「買う国債がなくなる」事態発生か
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· 2018-04-02 · ソース: |
タグ: 日本;国債;経済 | 印刷 |
このほど再任が決まった日本銀行(中央銀行)の黒田東彦総裁は、「2%のインフレ目標達成まで量的緩和の規模を縮小することはない」と発言したが、これは言葉そのままではなく「市場の混乱を避けるため」と受け止められている。実際、日銀の政策委員会は、超緩和の金融政策が引き起こす副作用やリスクの検討を始めており、黒田氏も昨年の講演の中で思いがけず「リバーサル・レート」の概念に言及し、自身も当面の政策の限界を認識していることが浮き彫りになった。
日本の超緩和金融政策のマイナス作用は国債市場の動きにはっきり現れている。2013年以降、日銀は主に国債の買入によって市場に「大量に活力を注いできた」が、このために日本の国債取引は半減してしまい、一日あたり平均取引量がかつての35兆円規模から15兆円規模へと一気に減少した。国債市場は徐々に活力を失い、今や「ゾンビ市場」と呼ばれることもある。
日本国債市場は発達を遂げ、債券市場で80%以上の割合を占め、回転率や流動性といった重要指標はどれも活力に満ちあふれ、経済運営に重要な役割を果たしてきた。その国債市場の停滞により、日本の金融リスクは大きく高まったといえる。
どのようなリスクがあるか。まず国債の流動性が大幅に減少した。かつて日本国債市場では商業銀行や生命保険会社などの金融機関が主体となり、12年には国債保有率が63%を超えていたが、現在は17%と22%の計39%に減少した。一方、日銀の現在の保有率は41%を超え、12年の約4倍に増えた。日銀の口座に眠る国債は市場に流通することなく、日本国債市場はいずれ「買う国債がなくなる」事態に陥る。
次に国債市場の価格形成メカニズムが崩壊した。日銀は16年9月、「長期・短期金利を誘導目標とする」金融緩和政策の新たな枠組を打ち出し、中核となる2つの政策として10年もの国債の利回りを0%で維持することと短期金利をマイナス0.1%にコントロールすることを決めた。こうした独占的政策は市場のメカニズムを大きくねじ曲げ、資源配置の役割を発揮することを難しくした。 3番目に国債の金融仲介機能が大いにそがれることになった。商業銀行や年金保険機関は国債を担保にした資金調達や資本経営ができなくなり、日銀の強制介入や利回りのコントロールによって国債のもつ金融面の機能がほぼ消滅した。
最後に国債市場衰退の最大の問題点は日銀の緩和政策からの撤退リスクを引き上げたというところにある。日銀は元々の国債市場の主体を追い払った。これはつまり国債を売却しようとしても、引き受け手がいないという巨大なリスクに直面する可能性があることを意味する。また日本のこれまでの国債市場の主体は相次いで海外での資金調達に切り替えており、その象徴的な出来事として16年6月に三菱東京UFJ銀行が国債の入札で優遇措置を受けられる財務省発行の「国債市場特別参加者」(プライマリー・ディーラー)の資格を返上したことが挙げられる。また日銀は利上げに転じれば自身の財務基盤の安定性を脅かすことになる。日銀の自己資本はわずか7兆円で、自己資本比率は1%しかないからだ。
実際、日本が量的緩和政策からスムースに撤退できるかどうか、カギは財政規律と日銀の独立性にある。日本は現在、日銀の緩和政策に過度に依存した拡張型の財政体制を形成している。「2020年をめどに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する」との財政再建計画はとっくの昔に暗礁に乗り上げ、財政規律は緩み、15年に実施されるはずだった消費税率引き上げは2度も先送りされ、財政支出は5年間で160兆円増加し、緩和政策は市場から「財政のための資金調達」などと揶揄されている。リバーサル・レートと相反して、日銀は政権の意向を受けた「再インフレ論グループ」の色合いをますます強めており、その独立性への疑念が広がるだけでなく、日本の金融リスクが2018年の思いがけない「ブラックスワン事件」になるのではないかと多くの人が懸念している。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年4月2日
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