▽投資は慎重に行うべき
中国による日韓企業のM&Aにはこれを主導するさまざまな要因がある。劉客員研究員は、「まず、中国企業の対外M&Aでは『優位性比較』の原則を遵守する。ターゲットはその国の国際競争力を備えた産業だ。次に、一連の日韓企業は経営に問題があっても、ブランドはなお影響力をもっており、これも中国企業の重要なターゲットだ。さらに、日韓は危機の中で産業のバージョンアップの必要性に直面しており、日本資本は欧米の保険企業やインフラ企業などの大規模なM&Aを行うと同時に、一連の産業を淘汰する必要にも迫られている」と説明する。
東アジアの一体化された市場という観点で眺めると、東アジアの経済大国は今後の協力で非常に大きな可能性があるといえる。劉客員研究員は、「金融市場、科学技術の革新、環境保護産業、高齢者向けサービスなどに幅広い協力の可能性がある。東アジアの一体化された市場の規模は各種の革新型産業を育成するのに十分なもので、世界経済の中心にいる米国の位置づけに取って代わるものといえる。だが前提条件は、一連の国が右翼的な対立思考や冷戦時代のイデオロギーを捨て去り、憲法改正をやめ、ミサイル配備をやめ、域外国家の『使い走り』になるのをやめ、経済貿易交渉を着実に推し進め、資本やサービスや技術をめぐる国境を越えた制限を打破することだ」と指摘する。
李補助研究員は対韓投資や韓国企業のM&Aについて、「中国企業は韓国が設定する一連の産業への参入にあたっての障壁に注意しなければならない。たとえば一部の産業では海外資本の最高投資比率が制限されると同時に、最低投資規模や最低投資人数も規定されている。反独占法などの韓国の一連の法律は中国と異なっており、企業は交渉に際して注意する必要がある。産業の規制が異なるため、中国資本が韓国でM&Aを進める際には一連の問題に遭遇することになる。さらに中国企業の海外M&Aは相対的に経験不足で、自身のもつ優位性をよりよく発揮できておらず、成功したケースが少ない。だがこれから企業の海外投資が増えていくと、中韓の協力はより深いレベルで発展するものと確信する」と述べた。