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映画「万引き家族」、アットホームながら社会問題に一石投ず
  ·   2018-08-07  ·  ソース:
タグ: 日本;映画;文化
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 見る者を感動させる生活感あふれたディティール 

上海映画家協会の副会長である上海戲劇学院の石川教授は、「大音は声希(まれ)で、大象は形無し。パルムドール受賞作品である同作品はまさに名実一体で、是枝監督はドキュメンタリーのような抑え気味で、中立、不介入という表現スタイルを通して、一見幸せに見える家庭の裏側にあるものを、少しずつ明らかにし、家族一人一人が抱えている孤独や心の傷を描き出している」と評価する。

そして、「前半は、一見すると三世代が同居し、貧しいながらも狭い家で和気あいあいと生活している大家族といったストーリーが展開されるが、祖母の死により事態は急変、表面的な仲の良さがほころびを見せ、大きな心の傷が少しずつ明らかになっていく。司法当局やメディア、福祉機関などが次々と介入し、その中で仮面が次々にはがされていく。このいわゆる『家族』は実際には、なんとか生き延びるために肩を寄せ合うさすらい人、捨て子、万引き犯、犯罪者だったのだ。彼らが法的裁きを受けるとき、観客が涙を流すのは、真相や正義が明らかになったからではなく、仮面をかぶってきた家族がバラバラになってしまうからだ。その時、人の心にある家族に対する感情が一気にこみあげてくる。しかし、司法やメディアなどは、それを淡々と処理し、冷淡さすら感じさせる。是枝監督は、現実を公然と批判していないものの、深い観察力でそれを見事に描き出している」と分析する。

中国の映画評論家・張宗鉛氏は、「是枝監督は、『歩いても、歩いても』で自分のスタイルを確立した。その後、コンフォートゾーンから抜け出し、『三度目の殺人』を制作。その時点で作風はすでに非常に成熟しており、巨匠の風格が漂っていた。そして、『万引き家族』は、コンフォートゾーン内の作品でありながら、前作時のチャレンジも続け、社会問題を盛り込みながらも、最後まで真相も明確な答えも与えていない。ひたすら考える価値のある問題を投げかけ、観衆が自分でそれを考えるというスタイルを貫いている。是枝監督が近年得意とし、考えてきたものがこの作品に詰まっている。それは、現段階における総括と報告のようだ」と評価する。

家庭をテーマとした作品を得意とする是枝監督は、その作品の中で数多く描かれている生活感あふれるディティールが特に評価されている点の一つとなっている。「万引き家族」では、各シーンや小道具、セリフ、登場人物の行動などを通して、日本社会における目立たたない暗い部分が描き出されており、それらに含まれている情感もまたひそかに見る者の心を打っている。コミュニティサイト・豆瓣では、「『万引き家族』で表現されているディティールの中で、特に評価できるのはどこ?」という質問に、48件のコメントが寄せられており、各ネットユーザーが、じっくりと見ていなければ気が付かないような、細かな部分を綴っている。またこうしたコメントを閲覧しているネットユーザーは約13万人に達している。そして、豆瓣での評価は8.8ポイントと、現在上映中の他の映画を大きく上回る評価となっている。(編集KN)

「人民網日本語版」2018年8月7日

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