中国教育部（省）、国家言語文字工作委員会がこのほど発表した「中国言語文字事業発展報告」などの一連の文書で、中国の言語・文字に関する事業の発展状況、成果の全体を系統立てて紹介している。統計によると、中華人民共和国が1949年に建国されて以降、普通話(標準中国語)の普及率が2000年の53％から15年には約73％に向上し、識字者の通用規範漢字使用率は約95％に達している。 人民日報が報じた。

社会の変化を反映する「今年の漢字」、「流行語」

16年8月、中国の不動産大手・万達集団の王健林董事長がある番組のインタビューで、「まず、達成可能な小さな目標を設定するのがいい。例えば、1億元(約16億5000万円)を稼ぐことだ」と話し、瞬く間にネット上で大きな話題となった。そして、多くの人が自嘲気味に「小さな目標」を設定するというのが流行した。そして、このネット流行語を主流メディアも使うようになり、最終的に「小さな目標」が16年度の国内流行語大賞に選ばれた。

中国国家言語資源モニタリング・研究インターネットメディアセンターの職員は、 「ネット用語、特定の出来事、映画・テレビ番組、方言の発音などに端を発する言葉は、ネットユーザーの個性、自由意識の表現であり、自分のコンディションや社会、公共での出来事に対する判断、評価でもある」と分析している。

「小さな目標」のように、各年の流行語も興味深い。前出センターや商務印書館、人民網が主催した16年度の「今年の漢字」では、「規」が今年の漢字に、「小さな目標」が国内流行語大賞に選ばれた。また、国際的な今年の漢字には「変」、国際的な流行語には「一帯一路（the Belt and Road）」がそれぞれ選ばれた。

「中国言語生活状況報告」の編集責任者・郭熙氏は、「社会の変化のレコーダー、顕微鏡である『今年の漢字』、『流行語』は、その年の言葉の変化や社会の話題を表しており、人々の自分の生活や社会の変革、人類の発展に対する理性的な考えが詰まっている。思考を重ねる間にその時代のプラスのエネルギーが蓄積される」とし、「国内流行語の『規』は、時代が大きく変化する中、人々が道徳面、物事の処理の仕方、家族の治め方、国の治め方などの基準を一層重視するようになっていることを反映している。国内の流行語となった『小さな目標』は、中国人が実際的なものを重んじ、楽観的であることを示す新たな気風を示している。『変』と『一帯一路』は、安定しない世界情勢において、コネクティビティ、連携、ウィンウィンが人類共通の願い、最大公約数であることを示している」と分析している。

言語業界が急速に発展 2800億元規模に

中国は、統一した多民族国家で、多言語、多方言、多文化の国である。「中国言語文字事業発展報告（2017）」（白書）によると、中国には56の民族がおり、シナ・チベット語族、アルタイ諸語族、オーストロネシア語族、オーストロアジア語族、インド・ヨーロッパ語族などがあり、100以上の言語が話されている。漢字や現在も使われている少数民族の文字など、文字は29種類使われている。北京語、上海語、江西語、湖南語、福建語、広東語、客家語などを含む漢語が、中国で使用人口が最も多い言語だ。

同白書は、国家言語文字工作委員会が初めて発表した中国の言語、文字に関する事業の発展状況や言語、文字関連の方針、各分野の統計を系統立てて紹介する、権威ある報告だ。教育部の言語・文字情報管理司、言語文字応用管理司の田立新・司長によると、現在、「中国言語生活状況報告」（緑書）、「中国言語政策研究報告」（青書）、「世界言語生活状況報告」（黄書）などを含む、同委員会の一連の文書が発表されており、国や社会、学術などに貢献する点で大きな役割を果たしている。

前出白書によると、現時点で、中国は世界の141の国や地域に、515の孔子学院、1074の孔子課堂（大学以下のレベルの教育機関で設置された施設）を設置しており、登録者は210万人に達している。欧州連合（EU）28ヶ国、中央ヨーロッパ・東ヨーロッパ16ヶ国をカバーしている。その他、オランダ・フローニンゲン孔子学院は、初の海外普通話育成テストセンターを設立し、世界各地の中国語学校約2万校が華僑・華人を対象に中国語を教えている。16年の時点で、中国の大学には72の外国語学部が設置され、うち、65が非共通語で、EU加盟国の24の公用語、東南アジア諸国連合（ASEAN）の加盟国10ヶ国の公用語をカバーしている。外国語の文学部の学部生の人数は81万人に達している。

中国の言語、文字に関する事業が進展を続けるにつれ、言語・文字系の商品や関連の研究・コンサルティング、技術研究・開発、ツールの応用など、専門的なサービスを提供する現代サービス業も急速に発展している。白書によると、言語サービスや関連のサービスに従事する企業の数は7万2500社に達しており、業界の年間生産額は2800億元（約4兆6200億円）以上に達し、言語出版業の小売り市場は約150億元（約2475億円）規模になっていると試算されている。（編集KN）

「人民網日本語版」2017年9月15日