▽日本を訪問する中国人観光客も震災前の水準に回復
東日本大震災は訪日中国人旅行客の数にも影響を与え、その数は2011年、前年より140万人も少ない104万人と大幅に減少した。しかし、日本政府観光局(JNTO)が5月24日に公表した最新統計によると、4月の訪日外国人の数は78万800人で、地震が発生して間もなかった2011年4月に比べて163.9%増と、ほぼ地震発生前の水準にまで回復を見せた(2010年4月に比べてわずか0.9%減)。
震災から1年を迎え、観光業には回復の兆しが見えている。2011年11月、訪日中国人観光客は同時期過去最高数となる9万2300人を記録し、顕著なV字回復を見せた。そして12月も、同数は前年同月比31.9%増の7万9800人と、これまた同時期の最高数を記録した。その勢いは今年に入ってからも衰えることはなく、同数は1月、前年同期比39.6%増(3万9300人)の13万8400人に達し、過去最高の増加率を記録した。
今年1月、訪日中国人観光客が急速に増加した背景には、同月に中国では最大の祭典・春節(旧正月、今年は1月23日)を迎え、それに伴う大型連休を利用して日本に旅行に向かった中国人が多かったことがある。そのため、春節明けの2月は8万3100人と1月より5万5千人減少している。しかし3月に入ると、その数は13万0300人に達し、震災が発生した2011年同月と比べ108.7%増、震災前の2010年同期と比べても5.7%の増加と過去最高を記録した。また4月も前年同月比96.4%増の14万9600人で、2010年同期と比べてもわずか0.8%減にとどまった。これらのデータを総合すると訪日中国人観光客はほぼ震災前の水準にまで回復しているといえ、日本の観光業も一安心というところだろう。ただ、原子力発電所の事故や円の急騰などを背景に、韓国やフランスなどの観光客は緩やかな回復しか見せていない。
今年の1-4月、中国大陸部からの訪日観光客の総数は50万0900人、台湾からは44万3100人、香港からは15万8100人で、この3つの中華圏からの観光客を合計すると110万2100人と、外国人観光客全体の40.94%を占めている。日本を訪問する中国人が大幅に増加していることは、日本政府が昨年9月、中国人の個人観光客向け査証(ビザ)の発給要件を緩和したことに起因すると考えられている。
観光庁は、中国大陸部や台湾、香港などから来る観光客の数は震災前の水準にまで「劇的なスピード」で回復しているとし、2016年までに外国人観光客を1800万人呼びこむという目標の達成につながればと期待を寄せている。また、2012年に日本を訪問する外国人の数が史上最多となった2010年の861万1千人を抜く900万人を超えるのではとの期待もある。その目標達成に向け、日本政府は5月17日、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県を訪問する中国人の個人旅行者を対象に、有効期限内であれば何度でも日本を訪問できる数次査証(ビザ)を発給する特例措置を7月から始める方針を明らかに。中国人観光客180万人を集客できるではと見られている。
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