人民元安とは無関係
2005年に中央銀行が人民元為替相場改革を行って以来、人民元の対ドル相場は一方的な高値傾向にあったが、今年2月から人民元安に転じた。特に3月17日に中央銀行が人民元対ドル変動幅を1%から2%に拡大すると発表した後最初の取引日には、人民元が279ベーシスポイント暴落し、3月24日現在も小幅の下落が続いている。市場には、「これは人民元為替相場の規制緩和によるものだ。人民元安は為替相場変動幅拡大の噂が流れた頃から始まっていた」という推測が飛び交った。「人民元のこの2カ月来の安値傾向と今回の為替相場変動幅緩和は、2005年7月の為替制度改革以来の一方的人民元高が終わり、人民元が変動幅がより大きく管理が少ないという新たな段階に入ったことを表す」という見方さえ示した市場関係者も多かった。
為替相場変動幅拡大は本当に人民元安を意味するのだろうか?これについて中央銀行の資料は、「人民元為替相場変動幅の拡大は人民元相場の両方向の変動弾力性を高める制度措置であり、人民元相場の上昇・下落との直接的関係はない」としている。
しかし中央銀行の資料は、「為替相場に異常な大幅変動があった場合、人民元為替相場の正常な変動を守るために、人民銀行は必要な調節と管理を実施する」とも強調している。
JPモルガンが3月18日に公表した分析レポートも、「現在のところ人民元為替相場変動幅拡大が経済に与える影響は比較的小さい。現在の疲弊した経済データは、為替相場変動幅拡大後に人民元高と資本流入が起こる可能性があまりないことを意味している。人民元安は輸出を後押しし、資本流出により国内の流動性が減るため、中央銀行の預金準備率引き下げへの扉を開くだろう」との見方を示している。一方でJPモルガンのレポートは、「しかし我々は人民元が安値傾向に転じるとは考えていないし、当面の間人民元為替相場が安定を保つと予想する」としている。
人民元為替相場変動幅のさらなる拡大により、人民元は短期的には調整を要因とした人民元安の可能性があるが、中長期的には依然として小幅の値上がり傾向を保つと見られる。
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