蘭辛珍
人民元為替制度は市場化の方向に沿ってまた重要な一歩を踏み出した。3月17日から、中央銀行(中国人民銀行)は再び人民元為替相場の変動規制を緩和し、銀行間直物為替市場の人民元対ドル相場変動幅を1%から2%に拡大した。外貨指定銀行が顧客に提供する当日のドル直物為替売り相場最高値と直物為替買い相場最安値の差が超えてはならない当日為替相場仲値のパーセンテージは2%から3%に拡大した。1994年に中央銀行が人民元為替相場の変動を許可してからこれが4回目の調整となり、調整幅も最大となった。
対外経済貿易大学金融学院院長の丁志傑氏は、「2005年7月以降中央銀行が実行してきたのは、市場需給に基づきバスケット通貨を参考にして調節を行う管理変動為替相場制だった。しかし中央銀行の今回の為替相場変動幅拡大の公告には、「バスケット通貨を参考にして調節を行う」との表現はなく、「市場需給に基づいた管理変動為替相場制」という表現が使われ始めた。これは、人民元為替相場に対する重大な調整が行われ、中央銀行が常態的な介入をやめたことを意味する。
中央銀行の資料によると、ここ数年、中国の外国為替市場はさらに成熟し、取引量は引き続き増加、取引品目は増え続け、取引主体のリスク抑制能力が次第に高まり、自主価格決定の願望が日増しに強まり、外貨市場の一層の発展に適応するためより大きな変動幅が必要になってきた。今回人民元対ドル相場変動幅を2%まで拡大した措置は適切であり、リスクも比較的小さいという。
人民元為替相場を完全開放し市場による相場決定を望む声に対し、興業銀行アナリストの魯政委氏は、「中国は最終的に市場による為替相場決定の制度に転換するだろうが、現在はまだその条件が整っていない。今完全開放すれば、中国金融体系に深刻な打撃を与える。中央銀行は周到・慎重の原則に従って、漸進的な方法で相場の市場化を推進することが望ましい」と指摘する。
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